老老介護を超えた認認介護だけでなく、認知症高齢者の単身暮らしも難しい。自立した普通の生活は、まず送れない。見守る人が必要であり、第三者がいち早く気づき、介護保険制度や地域の社会資源につなげ、誰かに助けてもらいながらなんとか生活していくしかない。しかし、苦しむ高齢者や家族にとって、最後のセーフティーネットといえる介護保険制度も、2015年4月からせきを切ったように制度改悪が進行している。

 そもそも介護保険制度は3年に1度、改正される。「改悪」の例を挙げていくと、2015年の見直しで、利用者の自己負担金額が一律1割だったものが、一定以上の所得者に関しては2割に引き上げられた。高齢者が支払う金額は一瞬で2倍となった。月の自己負担金額の上限を定める「高額介護サービス費」も3万7200円から4万4400円に引き上げられ、地域のセーフティーネットとして機能する特養老人ホームには、要介護3以上の重症者しか入居できなくなった。

 そして、軽度高齢者の切り捨てを目的とした自治体による地域総合事業も始まっている。地域総合事業は要支援1、2という軽度高齢者を制度から切り離し、自治体がそれぞれ支援するという社会保障費削減を目的にした苦しい施策である。

 また、来年度の改正では、要介護者の介護度を改善させた自治体に財政支援する財政インセンティブの導入が決まっている。要介護高齢者が少ないほど評価される驚きの内容で、来年度からは要介護認定が厳格になる。地域によっては必要な要介護認定がされなくなり、介護保険制度は圧倒的に使いにくくなる。
介護保険制度スタート。特別養護老人ホーム「デイサービス」でヘルパーらと談笑しながら食事をとるお年寄り=2000年4月1日
介護保険制度スタート。特別養護老人ホーム「デイサービス」でヘルパーらと談笑しながら食事をとるお年寄り=2000年4月1日
 さらに現役世代並みの収入がある利用者の自己負担は、2割から3割にアップする。介護事業者に支払われる介護報酬も、業種によっては大幅に下がる。説明した通り、介護現場は圧倒的な負の連鎖の渦中、本格崩壊の瀬戸際にあるが、絶対に必要と現場から声が上がり続ける介護職の処遇改善どころか、さらに賃金は低下して人材獲得は困難になり、離職に拍車がかかる。異常な人手不足の中で、賃金が下がるという前代未聞の事態となるのだ。

 財政難の国は、見境なく本格的な介護保険制度縮小にかじを切っている。介護保険制度はまだまだ改正を繰り返し、最終的には要介護1、2まで制度から切り離し、自己負担は収入に関係なく一律3割、現役世代の負担はさらに上昇して、高額介護サービス費もまだまだ上がるといわれている。