渡部亜矢(実家片づけ整理協会代表理事)

 最近、「実家の整理」という言葉が話題に上る機会が多くなった。親が高齢になった働き盛りの世代にとって、避けては通れないこの問題。親が元気なうちに着手すべき理由や具体的なノウハウを専門家にうかがった。
 実家が散らかり放題になり、高齢の親の生活を脅かすだけでなく、亡くなったあとの相続問題にも大きな影を落とす……。そんな問題が今、各地で起きています。今の30~40代にとっても他人事ではありません。この世代の親には持ち家の人が多く、いずれ子供が相続することになるからです。散らかり放題の家では、手続きを進めることができません。

 整理が面倒だからといって、相続後に空き家のまま放置すれば、誰も住んでいない家のために固定資産税を払い続けることになります。また、近隣の環境や景観に悪影響をおよぼすと判断され、自治体から「特定空き家」の勧告を受けると、最大で従来の6倍もの税負担を強いられることになります。

 また兄弟姉妹がいる場合は、「遺産分割協議」により、相続人全員の合意のもとで相続手続きを行ないますが、通帳や印鑑、権利書といった財産関係のものが実家のどこにあるのかわからなければ、親の資産の全体像が把握できず、話しあいもまとまりません。

 そんな事態に陥らないためにも、親が元気なうちから実家の整理に着手しましょう。

「親の家なのだから、整理も親に任せればいい」と思うかもしれません。しかし、親世代は戦中・戦後のモノ不足の時代を生きてきたので、モノは豊かさの象徴であるという価値観が根強く、基本的に「モノを捨てる」という発想がありません。また、高齢になると身体能力が低下し、掃除やゴミ出しが困難になって家の中が散らかったり、不要なモノを溜め込んだりする事例も目立ちます。「母はきれい好きだから」と安心していたら、久しぶりに帰った実家がゴミだらけになっていてびっくりする、ということも多いのです。