2017年09月15日 16:09 公開

ファーガル・キーン記者 BBCニュース

保守派仏教徒団体「マバタ」の僧侶たちは、海外メディアをほとんど信用していない。

マンダレーのマバタ僧院を訪れた我々が近づくと、指導者アシン・ウィラトゥ師は頭を覆い、我々のカメラを遮るように傘を広げた。

強硬な国家主義運動の関係者がジャーナリストに敵対心をむき出しにするのは、普遍的な特徴だ。

そしてマバタの世界観において、真実はただ一つ。仏教徒は、暴れるイスラム教の被害者なのだ。

アウンサンスーチー政権から活動を禁止されて半年、マバタの僧侶たちは今でも自分たちの排外的な主義主張を積極的に推し進めている。私はマンダレーにあるキム・ウィン・ミン・ジー僧院で、8人の高僧に話を聞く機会を与えられた。

法律を守るムスリム(イスラム教徒)については何の問題もない――。エインダル・サッカ・ビウィンタ師はこう話した。しかし、イスラム教徒がインドに侵入した時はどうか。住民を無理やりイスラム教に改宗させたではないかと。

この世界観では、37万人以上のロヒンギャがバングラデシュへ逃れるに至った苛烈な弾圧も、イスラム教徒に侵略される仏教徒の長い闘いという文脈の一部になる。

マバタは今年7月までに、政府のヘイトスピーチ取り締まりで解散させられたはずだった。

ラカイン州での出来事について、スーチー氏の姿勢をマバタはどう思っているのか。尋ねてみると、高僧の一人は避難民のことを、ロヒンギャにとって侮辱的な表現を使って「ベンガル人」と呼んだ。

「このベンガル人問題に関して、アウンサンスーチーさんの立ち位置は正しいし、発言も正しい。なので大いに歓迎する。スーチーさんがこういう姿勢だからと、フェイスブックで嘘をついて批判したり、フォトショップ加工した画像で侮辱する人もいる。国の指導者を侮辱するのは本当に不快だ」

マバタの僧侶にこうして支持されても、スーチー氏はありがたくないだろう。しかしマバタの言葉には重みがある。マバタは自分たちの方針のもとに大衆の支持を動員できるし、政府の解散命令など鼻で笑っているように見える。

ミャンマー国民の大半は、ロヒンギャを支持しないし、同情もしていない。

スーチー氏が率いる与党・国民民主連盟(NLD)のマンダレー支部で、治安担当報道官から聞いた話が実に印象深く、状況をありありと伝えていた。ミャ・アウン・モー氏は、真の被害者はラカイン州の仏教徒だと考えているのだ。

「私たちミャンマーのラカイン族が、ラカインにいるテロリストに襲われている。このことを、ぜひお伝えしたい。同胞の民族について、強調したい。ムスリムのことなど知らない。大事なのは同胞の仏教徒だけだ。それをお伝えしたいのです」

普遍的人権の擁護に尽力しているはずの政党を代表する人間が、こう発言したのだ。

スーチー氏が軍の強硬策を非難したり、軍の自制を求めるなどすれば、この地で支持する人はほとんどいないはずだ。軍部はこのことをよく理解しているし、今のスーチー氏が国際的に孤立してしまった状況を喜ぶに違いない軍幹部もいる。

ラカイン州ではまさに今、人権と人道の危機が起きている。軍の強硬策が終わるまでには、数日というよりは数週間かかるだろう。

しかし、ラカイン州が露呈した軍の実力と国家主義的な仏教徒の問題は、この国の将来に大きく影を落とす課題をむき出しにした。

(英語記事 Rohingya crisis: Meeting Myanmar's hardline Buddhist monks