2017年09月20日 17:31 公開

ミャンマーの実質的指導者アウンサンスーチー氏は19日に初めて、ラカイン州の武力衝突と難民危機について公の場で言及した

BBC東南アジア特派員のジョナサン・ヘッド記者は、ミャンマーとバングラデシュの国境の両側からロヒンギャ問題の取材を続けている。ヘッド記者がスーチー氏の主張がどこまで本当かを点検した。


○ スーチー氏 「今月5日以降は武力衝突や強制排除作戦は行われていない」

今月7日、私はアレル・タン・ジョーで行われた政府主催のマスコミ視察ツアーに参加した。その際、遠くから自動小銃の音が聞こえ、4本の太い煙が立ち昇っていたのを目撃した。複数の村が焼かれていたとうかがわれる。

その後、同じ日に、ロヒンギャのガウドゥタールヤ村が、複数の武装警官の目の前でラカイン族の仏教徒によって焼かれた。村の近くには警察署がある。

バングラデシュからは、ナフ川の向こう岸で複数の煙が立ち昇っているのが見えた。煙の規模からして、村が焼かれていたとしてもおかしくない。

アウンサンスーチー氏は、これを「強制排除」作戦とは呼ばないのかもしれない。しかし、この川岸付近の地域でミャンマー軍と警察が非常に多く見られることから、少なくとも当局の暗黙の了解がなかったとは考えにくい。


○ アウンサンスーチー氏 「宗教、人種、政治的立場を問わず、この国の法に背き、国際社会が認める人権を侵害するすべての人物に、対処する

ミャンマー軍は70年以上にわたり人権侵害を重ねてきたが、ラカイン州だけでなく、国内で武力衝突が続く多数の地域で、軍人が処分を受けたという記録はほとんどない。

それが今になって処分されるようになるとは考えにくい。ミャンマー軍は、約40万人のロヒンギャが避難したのは、武装勢力「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)の襲撃に関与したからだと主張している。

マウンドーで取材した1人の大佐は、多くのロヒンギャ難民がレイプされたという訴えについて、事実であるはずがないと私に話した。自分の部下は強姦などするには戦闘で手一杯だし、ロヒンギャの女性はそれには魅力がなさすぎるからと。


○ スーチー氏 「ラカイン州に住むすべての人は、分け隔てなく教育と医療を受ける機会がある」

これはまったく事実と異なる。ロヒンギャは長年にわたり、差別され、様々な制約を受けてきた。当局の許可がなければ移動できず、結婚すらできない。許可を得るためには往々にして、賄賂を支払う必要がある。

ラカイン州で2012年に起きた暴力沙汰を機に、ロヒンギャへの規制は強化された。

ミャンマー国内の難民キャンプにいる多くのロヒンギャは、特別な許可がない限りそこから離れられず、その地域に縛られている。そして特別許可はなかなか得られない。

そのキャンプにいて、5年間も教育を受けられない生徒たちを私は知っている。

私は4年前、ラカイン州ラテダウン南部にある、ロヒンギャのアーナウピーン村を訪れた。そこでは周辺のラカイン族仏教徒たちはロヒンギャを非常に敵視しており、ロヒンギャはたとえ病気やけがの治療が目的でも村を出られなかった。

今月18日、私はバングラデシュでガウドゥタールヤ村から来たアブドルマジドさんに話を聞いた。私自身、その村が焼かれるのをこの目で目撃した。

アブドルマジドさんは私に、「5年前から、仕事のためでも村の外に出らなかった」と話した。

(英語記事 Rohingya crisis: Are Suu Kyi's Rohingya claims correct?