2017年09月21日 18:09 公開

米アルファベット傘下のグーグルは21日、スマートフォン事業の拡大に向け台湾の宏達国際電子(HTC)から一部事業を110億ドル(約1230億円)で買収すると発表した。

グーグルはHTCに出資はしないが、HTCの人員の一部がグーグルに移籍する。

一時はスマートフォン市場で主要な位置を占めていたHTCは、米アップルや韓国のサムスン電子などとの競争で苦戦していた。

グーグルは、当局による承認が順調に進めばHTCとの合意は2018年の早い時期に完了するとみている。

台湾証券取引所に上場しているHTC株は21日に売買が一時停止された。

ハードウエアに投資

今回の合意は、グーグルがハードウェア事業を強化する最新の動きとなった。

グーグルのハードウェア部門を率いるリック・オスターロー上級副社長は、グーグルのウェブサイトに掲載されたブログで、「グーグルのハードウェア事業はまだ始まったばかりだ」と述べた。

グーグルとHTCはこれまでも協力関係にあったが、グーグルは今回、自社ブランドのスマートフォン「ピクセル」を開発するHTCのチームを買収し、HTCが保有する特許の使用権を得る。

オスターロー氏は、「グーグルにこれから加わる人々は、すでに『ピクセル』スマートフォン製品ラインで緊密に協力してきた素晴らしい人たちだ」と述べた。

HTCによると、同社のスマホ事業の研究開発部門の半数にあたる約2000人がグーグルに移籍する予定。

HTCは昨年、グーグルが初めて発売した自社ブランドのスマートフォン「ピクセル」と「ピクセルXL」を製造。来月には改良版を発表する予定だ。

提携のメリット

グーグルにとっては、スマートフォン製造への進出に向けた主要は動きは今回が2回目。持ち株会社のアルファベットが発足する前の2011年にグーグルは米モトローラの携帯電話事業モトローラ・モビリティーを125億ドルで買収したが、3年後に中国のレノボに売却している。

CCSインサイトのジェフ・ブラバー氏は、モトローラの一件を踏まえれば、「眉をひそめる」人もいるかもしれないとしつつも、HTCとの提携によってデザインや技術の価値ある資源を手に入れられると語った。

ブラバー氏は、「グーグルにとってずっと大きなリスクになるのは、中核事業においてハードウエアが極めて重要な手段となる時に何もしないことだ」と述べた。

しかし、今回の合意でHTCが得るものは大きいという。ブラバー氏は、「HTCがスマートフォン事業の維持や初期段階にある仮想現実(VR)分野での成長に苦戦するなかで、非常に必要な投資だ」と指摘した。

HTCはVRヘッドセット「Vive(バイブ)」を製造。グーグルはフェイスブック傘下のオキュラスのVRヘッドセット「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」に対抗する製品として、HTCのバイブに注目している。

調査会社IDCによると、市場規模は依然として小さいものの、バイブの販売台数はオキュラス・リストの2倍で、より優れた製品だと広くみられている。

(英語記事 Google signs $1.1bn HTC smartphone deal