2017年09月22日 14:59 公開

仏化粧品大手ロレアル社の相続人であるリリアンヌ・ベタンクールさんが20日、94歳で亡くなった。ベタンクールさんの家族が確認した。

家族が発表した声明によると、ベタンクールさんは夜間、自宅で「安らかに」息を引き取ったという。

ベタンクールさんの2017年の資産総額は330億ユーロ(約4.4兆円)と推定され、世界で最も裕福な女性とされていた。

2012年にロレアルの取締役会から退き、その後は公の場で姿が見られることはほとんどなかった。しかしベタンクールさんが認知症と診断された後、金銭が搾取されたとして裁判沙汰になり、たびたび話題に上っていた。

ロレアルの会長であり最高経営責任者(CEO)であるジャン=ポール・アゴン氏は声明を発表し、「私たちは皆、リリアンヌ・ベタンクールさんに深い尊敬の念を抱いていました。ベタンクールさんは、常にロレアルのブランドや会社、社員を見守ってくれ、ロレアルの成功と発展に繋がり深い存在でした」と述べた。

「彼女は長年にわたり、ロレアルの成功に多大な貢献をしてくれました。美の世界における偉大な女性が、私たちのもとから去ってしまいましたが、私たちは決して彼女を忘れません」

2007年、ベタンクールさんと不仲だった娘のフランソワーズ・ベタンクール・メイエルさんとの係争が世間の注目を集めた。

ベタンクールさんの健康が悪化するなか、取り巻きに金銭を搾取されているとの懸念から、フランソワーズさんは訴訟を起こしたのだ。

2008年には、ベタンクールさんと親しかった写真家のフランソワ・マリー・バニエ被告が、合計で数億ドル相当になる物品を贈与されていたことが明らかになった。贈与品の中には、セーシェル諸島の一つで大きさが670エーカー(約2.7平方キロメートル)ある島やピカソの絵画などが含まれていた。

バニエ被告に対して法的措置を取った理由についてフランソワーズさんは当時、母親が同被告を養子にすることを考えているようだと、母親の自宅で働くスタッフから聞いたためだったと説明していた。

母娘は2010年に和解。その1年後、裁判官はベタンクールさんの体調悪化を理由に、ベタンクールさんの家族が後見人となるよう命じた。

しかし家族レベルの金銭搾取裁判は後に、政界スキャンダルへと発展した。ベタンクールさんの資産を管理していたパトリス・ドメストル被告が、ベタンクールさんから金銭を横領し、二コラ・サルコジ元大統領の2007年の選挙資金に回したとの主張があったためだ。  

疑惑は違法な政治献金の疑いで捜査されたが、サルコジ氏はいかなる不正疑惑も一貫して否定し、検察当局は2013年、サルコジ氏に関する全ての容疑を取り下げた。

その他の金銭搾取問題は最終的に2015年5月、バニエ被告を含む8人が有罪判決を受け、ベタンクール家に数百万ユーロの賠償金支払いを命じられたことで幕を閉じた。

ロレアル帝国

ベタンクールさんの資産は、化粧品大手のロレアルに保有していた株式も含め、娘が管理する信託に預けられた。

2人いるベタンクールさんの孫の1人、ジャン=ビクトル・メイエル氏は、ロレアルの副会長として取締役会を引き継ぎ、ベタンクールさんの生活面で後見人となるよう指名されていた。

ベタンクールさんの父ウージェンヌ・シュエレール氏は1909年、ロレアルをヘアカラーの会社として1909年に創業し、その後ロレアル・グループとして発展させた。

同社は現在、世界最大の化粧品会社。

(英語記事 L'Oreal heiress Liliane Bettencourt dies at 94