田岡春幸(労働問題コンサルタント)

 電通の労基法違反事件や働き方改革で長時間労働の抑制が、健康維持やワークライフバランスの観点から求められている。

 では、労働時間とはどの様な時間を指すのだろうか。労働時間管理のガイドライン(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずるべき措置に関する基準)で、厚生労働省は企業に対して、厳しい労働時間管理を求めている。
厚生労働省などの入る中央合同庁舎5号館=東京・霞が関(撮影・桐原正道)
厚生労働省などの入る中央合同庁舎5号館=東京・霞が関(撮影・桐原正道)

 同ガイドラインで、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たることとしている。また、労働時間について、使用者が自ら現認して確認することなどとされている。

 これらを踏まえ、政府は近年、厚労省(労働基準監督署)を使い、長時間労働の取り締まりを強化している。厚労省に「過重労働撲滅特設対策班」を置き、各労働局に「過重労働特別監督管理官」を任命している。月残業が80時間を超える場合は、是正指導や企業名の公表などを積極的に行っている。

 法の違反がある場合は、送検などの厳しい措置も取っている。労基署にとって過重労働取締まりは、最重点項目になっているのだ。この流れは、この先も続くと考えられ、9月13日に行われた自民党の働き方改革に関する特命委員会でも長時間労働抑制の議論がなされた。

 現状では、36(サブロク)協定(労働基準法第36条:休日労働や時間外労働をさせる根拠になる条文で、36条に記載の届出をしないと、時間外労働ができない。この届け出をしないで残業をさせたり、届け出している以上の残業をさせたりすることは違法になる)を締結すれば残業時間は事実上野放しだ。

 このことが、過労死などの問題を引き起こしているとの考えから、働き方改革の一環として、残業時間の規制(上限)を設ける動きが出てきている。厚労省原案では、時間外労働の上限について、月45時間、年間360時間を原則とし、特別な事情がある場合でも年間720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間に設定することされている。違反した場合は、罰則が付く。

 仮に月45時間だと、一日の残業時間が2・5時間を超えたら(週休2日、月22日勤務の場合)違反になってしまう。

 確かに、行き過ぎた残業は健康面を含めて問題になる。しかし、今、最も重要なのは、サービス残業が横行していることではなかろうか。しっかりとした労働に対する対価を支払われるような制度にしていくべきである。