これらの分野の労働者の長時間労働の是正はどうやって行えばよいでしょうか。第一に、それぞれの分野の労働組合や業界が労働時間削減に取り組むことです。戦後長い間、労働組合や業界は賃金上昇と比べると、労働時間削減に熱心に取り組んできませんでした。
電通の書類送検について会見する、東京労働局の特別対策班、樋口雄一監督課長(右)ら=4月25日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)
電通の書類送検について会見する、東京労働局の特別対策班、樋口雄一監督課長(右)ら=4月25日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)
 むしろ、労働時間削減よりもその分のエネルギーを賃金上昇に向けるという傾向が強かったといえます。今後は、労働組合や業界が、長時間労働の是正を最重要の課題として取り組むべきです。

 第二に、「自発的な働きすぎ」を見直していくことです。これらの分野の労働では、仕事についての「やりがい」や「面白さ」がよく強調されます。この「やりがい」や「面白さ」が、労働者の「自発的な働きすぎ」を促進している可能性があります。仕事の「やりがい」や「面白さ」が、労働の過酷化に疑問をもつことを困難にし、長時間労働を促進させている面はないかを、労働者自らが点検する必要があるでしょう。

 また、仕事における強制や圧力、過剰な仕事量や競争、少なすぎる人員配置など、長時間労働を生み出す雇い主の意向や職場の実態があるにもかかわらず、職場で「やりがい」や「面白さ」が強調されることによって、労働者の「自発的な働きすぎ」=「自己責任」と労働者自身が思わされている構造にも目を向けることが重要です。

 第三に、これらの分野の労働者の長時間労働を是正するためには、社会全体の労働時間削減とセットで進めていくことが重要です。なぜなら、マスコミ関係者、医師、教員、警察官の長時間労働を生み出している要因の一つは、彼らの仕事の対象者である取材対象者、患者、子供・保護者、一般市民の多忙化だからです。取材対象者、患者、子供・保護者、一般市民が多忙であれば、それに合わせてマスコミ関係者、医師、教員、警察官の側も厳しいスケジュール調整を強いられます。

 マスコミ関係者、医師、教員、警察官のみなさんが、自分たちの働き方を問い直すと同時に、日本社会全体の労働者の働き方を改善していく視点を持つこと、それが将来的には長時間労働の是正につながると思います。