2017年09月26日 13:53 公開

イラク北部のクルド人自治区で25日、独立を問う住民投票が実施され、同国政府や周辺国の反対にもかかわらず多くの人が投票した。開票は終わっていないものの、独立賛成票が反対票を大幅に上回った公算が大きい。

クルド人は、住民投票の結果はイラクとの分離独立に向けた交渉の負託を受けたことを意味すると主張する。しかし、イラク政府は「違憲」だとして否定している。

イラクと国境を接するトルコやイランは、自国内に住む少数派のクルド人による分離運動の高まりを懸念し、国境閉鎖や石油輸出に対する制裁を警告している。

3つの州で実施された住民投票で大きな混乱は見られなかった。選挙管理委員会は、投票率を約72%と推計している。

投票が締め切られると、自治区の首都アルビルやキルクークで人々が祝う姿が見られた。帰属をめぐり意見が対立するキルクークでは、騒乱を懸念して25日夜には外出禁止令が発令された。

ディヤル・アブバクルさん(33)はAFP通信に対し、「きょうはお祝いの日。だからこの日のために買っておいた伝統的な服を着ている」と語った。

自治区を統治するクルディスタン地域政府(KRG)とイラク政府が帰属をめぐって対立する地域では、クルド人以外の住民の一部が投票に反対していた。キルクークでは、アラブ系やトルコ系の地元住民たちが投票をボイコットするよう呼びかけた。

アルビルで取材するBBCのオルラ・ゲリン記者は、住民投票の結果が中東の姿を変える可能性があることから、イラク以外の地域でも注目されていると指摘し、トルコとイランは自国内のクルド人社会への影響を懸念していると語った。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はイスタンブールで、住民投票は「容認できない」と述べ、イラク国内のクルド人地域にとって非常に重要な石油パイプラインの閉鎖を警告した。

エルドアン大統領はロイター通信に対し、「我々が蛇口を握っている。蛇口を我々が閉めれば、おしまいだ」と述べた。

エルドアン大統領はさらに、クルド人自治区とつながる唯一の国境検問所を完全に閉鎖することも可能だと指摘。検問所は現在トルコ側からのみ通過できるようになっていると語った。

25日夜には、イラクとトルコの当局者が、イラクのクルド人自治区に接するトルコ国内で両国軍の合同軍事訓練を実施すると発表した。

住民投票を「違法」だとするイランは、24日にクルド人自治区との飛行機便を全て禁止した。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、住民投票が地域を「不安定化させる可能性」への懸念を表明した。

イラクのハイダル・アル・アバディ首相は24日、住民投票が「イラク国、イラク人の平和的な共存を脅かすもので、地域とって危険だ」と警告し、「国家の結束を維持し、すべてのイラク人を守る措置を取る」と約束した。

しかし、クルディスタン地域政府のマスード・バルザニ大統領は24日、国際社会が二重基準を使っていると非難した。同大統領は、「我々の人々に平和的に投票するよう求めるのは犯罪ではない」と述べ、「もし民主主義が我々にとって良くないのなら、ほかのすべての人々にとっても良くないのではないのか」と語った。

バルザニ大統領は、住民投票は国境線を確定しないとし、今後イラク政府との協議が1年から2年行われる可能性があると述べた。しかし、「神政主義で党派的な国家」のイラクとの「破綻した協力関係」は終わったと強調した。

(英語記事 Iraqi Kurdistan referendum: High turnout in independence vote