自民党と公明党の政策に対する批判もある。その代表的なものは、衆院解散の意図が分からないというものだ。冒頭の「大義なき解散」の言い換えである。安倍首相がこの時期に解散を決めた要因は、大きく三つあるだろう。ひとつは、北朝鮮リスクが11月の米中首脳会談後に高まる可能性があることだ。そしてこの北朝鮮リスクはそれ以降、短期的には収束することなく、むしろ高止まりしたままになる可能性がある、という判断からだろう。

 残りの二つはいずれも選挙対策的なものだ。内閣支持率の改善がみられたこと、そして小池知事の新党の選挙準備が不十分なこの段階を狙ったというものである。ただこれらふたつの要因は、マスコミの報道の仕方や、新党の行方に大きく依存するので、首相側からすれば確たる解散の理由にはなりにくい。いずれにせよ、どんなに遅くとも来年末には任期満了を迎えるので、北朝鮮リスクが相対的に低い現時点での解散に踏み切ったということではないか。

 また経済政策については、安倍首相の2019年の消費増税を前提にして、その消費税の使途変更が注目されている。簡単に言うと、国債償却から教育の無償化などへの使途変更である。これについて、あたかも2019年10月の消費増税が確実に行われるとする皮相な見方がある。過去の消費増税の見送りもそうだったが、増税自体はその時々の経済状況をみて政治的に判断されてきた。使途の変更と増税「確定」は分けて判断すべきだろう。

 むしろ首相の記者会見では、日本の財政再建の旗印であった基礎的財政収支(プライマリーバランス)の2020年までの黒字化達成を断念したことの方が筆者からすれば重要である。これによって中長期的な財政支出への重しがとれたことになる。経済低迷や北朝鮮リスクによる意図しない政府支出にも十分対応可能になるだろう。一方で、経済面で残念なこともある。それはインフレ目標の早期達成をはかるためには、日本銀行との協調を再強化しなければならないのに、その点への認識が甘いように感じられる。選挙のためには、現在の経済状況の良さを強調するという戦略だろうが、まだまだ日本経済は不完全雇用の状態である。それに立ち向かえるだけの政策の装備をしなくてはいけない。
報道陣の取材に応じる希望の党の小池百合子代表=10月1日、東京都中央区
報道陣の取材に応じる希望の党の小池百合子代表=10月1日、東京都中央区
 このままいけば、今度の選挙の論点はワイドショー的な「安倍自民vs小池希望」という構図で騒がれてしまうだろう。または小池新党をめぐる政治的混乱に注目が集まってしまう。今の政治状況では、ワイドショー的なものがかなり政治的なパワーを持っている。もし、また安易にテレビなどの報道にあおられて、「一度チャンスを与えよう」とか「新しいものがいい」などという安易で空疎な態度で、選挙に挑まないことを筆者としては祈るばかりである。