ただし適用区域の広狭、罰則の寛厳はまちまち、それに追加や改正も加わるので、全容を把握している人は皆無だろう。私も23区の関連条例に目を通し比較検分を試みたが、難解すぎて何度読んでも頭に入らない。40年住んでいる目黒区の「ポイ捨てなどのないまちをみんなでつくる条例」(2003年)も同様なので困惑していたところへ、2017年6月25日付の「めぐろ区報」が届いた。そのなかに「めぐろたばこルール――区内での喫煙のきまり」を見つけたので、次に要点を転記しよう。

①たばこのポイ捨てや歩きたばこは、区内全域で禁止です。
②路上喫煙禁止区内では、指定喫煙所以外の路上で立ちどまっての喫煙も禁止です。

 中学生でも読める平易な日本語だが、区内全域はともかく路上喫煙禁止区域の範囲がわからない。指定喫煙所の数や所在地も知るすべがない。たちどまり喫煙の禁止をなぜ①に入れなかったのか。吸い殻のポイ捨ては喫煙が先行するはずなのに別々の行為として、併記しているのはなぜか。他区の条例もそうだが、「歩行禁煙」と「路上禁煙」はどう違うのか、次々に疑問が湧く。

 区報は罰則の存在に触れていないが、条例を読むと違反者への罰金「3万円以下」は、ポイ捨てだけに適用されると解せる。区役所に聞いてみると罰金を取り立てた実例はないというので、解明するのはやめにした。

 他の区に当ってみると、罰則の有無は「あり」が13区、「なし」が10区とほぼ半々、取り立ての実績は「あり」が4区、「なし」が7区、不明(非公開)が11区もある。「なし」が多いのは類似の案件で区が敗訴する判例があったのも影響しているらしい。

 罰則がないにもかかわらず、きびしいと定評がある港区は、駅周辺など47カ所の指定喫煙所以外は全区にわたり路上喫煙やポイ捨てを禁じ、違反者には巡回員が説諭するにとどめているが、外国人にも守らせるつもりか英文のポスターも作っている。

 これ以上条例を検分しても煩にすぎるので、代表例を別表にまとめ、新機軸を持ち込んだ千代田区の近況に注目したい。当初は対象が区の半分ぐらいだったが、路上禁煙地区はしだいに広がり、2010年に霞が関地区が加わり皇居を除く区の全域に拡大した。
東京特別区の喫煙関連の条例
東京特別区の喫煙関連の条例
 ところが対象をうっかり「路上」に限定していたため行き場を失った喫煙者たちが公園に集まり、子ども連れの母親から苦情が出たため方針を転換する。道路に面した商店等に話をつけ2009年から初期費用は100%、維持管理費の80%を区が負担して一階に屋内喫煙場所を設置し、誰でも利用できるようにしたのである(毎日新聞2015年1月26日付)。

 その一方で千代田区はパトロール隊をくり出し、2000円(条例では2万円なのに)の徴集もつづけ、2015年度は7207人から取りたてた。石川区長は「東京五輪までに完全分煙し、風格のある街にしたい」と宣言しているが、他区にも波及すれば、屋内喫煙所を嫌う厚労省には苦々しい動向と言えそうだ。