2024年五輪決定パリの街中は吸い殻だらけ 驚愕の喫煙事情

『NEWSポストセブン』 2017.09.14

読了まで7分

 9月13日に行われた国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、2020年の東京に続く夏季五輪の開催地として、フランスのパリ(2024年)、アメリカのロサンゼルス(2028年)が選ばれた。特にパリは1924年大会以来、じつに100年ぶりの開催となるため、フランス中が歓迎ムードに包まれた。

 一方、パリに五輪舞台のバトンを渡す立場の東京では、小池百合子都知事をリーダーにさまざまな環境整備が急ピッチで行なわれているが、その中でも注目されているのが「受動喫煙防止」を目的とした“たばこ規制”の強化だ。

 IOCと世界保健機関(WHO)が「たばこのないオリンピック」の推進を求めていることもあり、五輪を契機に「喫煙禁止エリア」をしっかり法律で明記し、その後、厳守化していこうという流れができつつある。

 厚生労働省も先の国会で、飲食店など屋内を原則禁煙とする罰則付きの受動喫煙防止法案を押し通そうとしたが、与党・自民党内で賛否が分かれ法案提出には至らなかった。そこで名乗りをあげたのが小池都知事だ。

〈国でやると時間がかかることは東京都でできるようにしていきたい〉──7月の東京都議会議員選挙で小池都知事率いる「都民ファーストの会」が大勝したこともあり、同会が公約のひとつにしていた受動喫煙対策の早期条例化に自信を見せている。
東京都議会の代表質問に耳を傾ける小池百合子東京都知事=9月26日
 都民ファーストの会が9月下旬の都議会で提出しようとしているのは、「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」。飲食店などの屋内のみならず、家庭内や子供が同乗する自動車内でも喫煙しないよう求めるなど、プライベート空間にまで踏み込んだ内容となっている。

 こうした規制強化に「そこまでルール化しなければ解決しない問題なのか」と疑問の声があがっているのも事実だ。

 「東京都内では公共施設の禁煙はもちろん、飲食店や建物内の分煙も進んでいるし、街中では路上喫煙禁止エリアの拡大で、喫煙場所以外で歩きたばこやポイ捨てをする人も少なくなった。また、喫煙者は家庭内でも肩身が狭く、昔のように子供の近くで平然とたばこをふかす人も多くないはず。

 オリンピックに合わせた規制というのなら、むしろ日本を初めて訪れる多くの外国人のために、指定喫煙所の場所や日本ならではの“分煙マナー”を分かりやすく伝える方策を練るほうが先決ではないか。諸外国では屋外喫煙は自由な国が多いため、非喫煙者が煙を浴びない場所での灰皿新設とその管理方法を考える必要もある」(飲食業界関係者)
パリの喫煙規制は反面教師

 確かに日本では屋内規制ばかりが焦点になっているが、屋外でもたばこが吸える公共の喫煙所や店頭の灰皿がどんどん撤去され、喫煙スペースを探すのが難しくなっている。このままオリンピックに突入すれば、東京の街中が吸い殻だらけになる恐れすらある。

 日本の喫煙マナーの良さは、東京の次に五輪開催を控えるパリの喫煙事情と比べても明らかだ。8月にスポーツの世界大会でフランスを訪れたジャーナリストは、パリ市内のあまりの汚さに驚いたという。

 「私はベルシー・アリーナというパリ市12区にある大きな競技場に取材に行ったのですが、新幹線や地下鉄が乗り入れるリヨン駅を降りた途端、ホームでたばこに火をつけながら歩く女性がいたり、歩道や木陰に平然と吸い殻をポイ捨てする人がいたりと、まったくマナーがなっておらず、不快な気分になりました。

 おまけに犬の糞があちこちに落ちていて、夜には立小便をする男性の姿まで目撃してしまい……。オシャレなパリのイメージが一気に崩れました。現地に駐在する記者に聞くと、『パリ市民は街をキレイにするという意識がないんだよ』と教えられ愕然としました」

 だが、こんなフランスでもたばこに関する規制は行われている。

 WHOが今年発表した報告では、フランスの喫煙率は27.4%と日本(19.1%)よりも高く、長らく喫煙に寛容な国として知られてきた。だが、国民の健康増進や若年層の喫煙率を減らす目的で2008年に喫煙制限がかけられた。学校やオフィス、駅、美術館などの施設のほか、カフェやレストランなど飲食店でも喫煙が全面禁止となったのだ。
(iStock)
 それ以降、「たばこを吸うなら屋根のない外へ」との認識が広がった。飲食店でも店内でたばこを吸う客は見られない代わりに、喫煙者は外のテラス席を確保するのが当たり前の光景になっているという。

 また、町中でも駅舎やホテルの外、歩道の脇など至るところに灰皿やたばこの火消しがついたゴミ箱が設置されているのだが、日本のように「吸い殻は灰皿に捨てる」という“常識”は通じないのか、前述した通りポイ捨て行為が後を絶たない。パリ市内で1年間に回収される吸い殻の量が350トンに及ぶとの話もあるほどだ。

 駅舎内などでは喫煙やポイ捨てをした人に罰則を科す旨の表示をするところもあるが、まったく無視されているという。

 「滞在中に罰金を取られている喫煙者を見たことがないし、現地の人は誰ひとり歩きたばこやポイ捨て行為に関心を示さない。たばこの煙がかかるからやめて欲しいと睨もうものなら、『近くにいるあなたが悪い!』と言わんばかりに睨み返される始末。

 フランスでは受動喫煙なんて議論する以前の問題がたくさんある。そう考えると、日本の喫煙マナーがいかに優秀かに気付かされます。むしろ日本はあちこちに禁煙表示が貼られるなど、たばこ規制が過剰なのではと思ってしまったほどです」(前出のジャーナリスト)

 フランス政府もこうした状況を憂慮し、喫煙規制をさらに強めている。2006年に5ユーロ(約650円)だったたばこ1箱の値段を、約7ユーロ(約910円)と日本の2倍近くまで段階的に引き上げた。さらに、たばこの包装にブランドロゴの表示を認めず、喫煙で亡くなった人の写真を印刷させるなど過激な手法で何とか喫煙率を下げようとしているが、一向に減っていない。

 「たばこが合法的に売られて喫煙者がゼロにならない以上、強引に禁煙にもっていく政策は意味がない。喫煙者のマナー意識を徹底させ、たばこが吸える環境を整備して残したほうが受動喫煙防止も期待できるし、何よりオリンピックでもよけいな混乱を招かない」

 前出の飲食業界関係者はこう主張する。フランス・パリの喫煙事情やたばこ規制のあり方は、一足先に五輪を迎える東京の受動喫煙対策を深めるうえでも反面教師となるはずだ。

 関連記事
■ 6割税金のたばこ 意外と知られていない国と地方ダブルの税
■ たばこ値上げで吸わなくなる人急増し税収500億円落ち込むか
■ たばこ臭が嫌いな喫煙者 自分で吸うたびに歯磨き計1日20回
■ 創業99年の老舗たばこ店 9月の売り上げはいつもの6倍だった
■ 2010年に収穫されたばかりの高級たばこが数量限定発売中

この記事の関連テーマ

タグ

小池さん、いろいろ間違ってますよ

このテーマを見る