栗原 タバコが問題になる前に日照権がある。日照権の問題から派生して、たばこの嫌煙権に発展するという流れがあるんです。だから嫌煙権というのは発見されたものだったんですね。たぶん受動喫煙について100パーセントの因果関係を証明することはできないと思うんですよ、いつまでたっても。でも、可能性があるというレベルでも、「嫌だっていう人の人権は?」という話になっちゃう。じゃあ吸う人の人権と吸わない人の人権はとなると、やっぱり吸わない人の人権の方が強いわけですよね。微粒子1個たりとも許さないというPM2・5的な主張も成立してしまう。分煙も結局、喫煙ルームから出た瞬間にタバコ微粒子がまとわりついて出てくるという。
森永 そこまで極端な権利主張をするのはたぶん一部の人、せいぜい2、3割の人がそう思っているだけで、タバコを吸う人が2割とすると、その中間層の6割ぐらいは、まあ、横で吸われたら嫌だけど、1粒たりとも許せないというほどではない人たちじゃないかな。

加齢臭とフェロモン




栗原 でも最近は三次副流煙みたいなことが言われているじゃないですか。髪の毛とかについているタバコの匂いとか、粒子が、健康被害を起こすんだっていう論調が出てきている。やっぱり匂いだと思うんですよね。一番嫌なのは。おじさんが嫌がられるのは加齢臭じゃないですか。

森永 そこら辺はどうなんですか、山路さんは? 加齢臭も口説きの道具に使っているんですか。(一同爆笑)

山路 僕には加齢臭はないんですよ。この間ある番組で、男の匂いというのをやったんだけど、僕にはなかったの。

森永 はあ……それがモテる要因ですか。(一同爆笑)

山路 あのね、番組でやっていたのはね、男の匂いは男には分からない……女にしか分からないんだって。

栗原 それは加齢臭とも違うんですか。

山森 加齢臭っていうけれど、実はそれはフェロモンの一種で、いやな匂いがするから加齢臭という言い方をしているだけなのかも。

栗原 嫌いな人の匂いは加齢臭で、好きな男のはフェロモン。あ、でもタバコも人によりますよね。「タバコの匂いがした」って宇多田ヒカルも歌っているじゃないですか。

山路 前にアニメかなんかで、戦時中の話なのに、タバコのシーンが出てくるからって圧力団体みたいなのが抗議したことがあったじゃないですか。

山森 宮崎駿監督の『風立ちぬ』ですね。日本禁煙学会が猛抗議しました。

山路 それもありえない話でね。その時代の文化まで否定してしまうんじゃね。

栗原 でもあの団体はタバコが出てくるかどうかで、映画の価値を決めますからね。喫煙シーンがあるともう0点ですから。ハリウッドでも、昔の映画から喫煙シーンをCGで消しちゃったりするという傾向があるじゃないですか。

山森 自主規制ですね。先ほどの森卓さんのタクシーの話も実は法律で決まっているんじゃない、自主規制なんですよね。

森永 そう。この間、福岡で個人タクシーに乗ったら、「タバコ吸っていいですよ」って言うんです。「福岡にも喫煙タクシーはあるんですね」って喜んで吸い始めたら、「僕はライフワークとして抵抗しているんですけど、ついに福岡では僕だけになりました」って。

山森 もし法律や条例で禁止されたら、飲食店はどうなるんですかね。

森永 アメリカの禁酒法の時代とまったく同じことが起こると思いますよ。地下に潜って、喫煙居酒屋というのが出来て、見張りが「警察が来たぞ」って言うとパッとたばこを消して……。

栗原 でも匂いが残るじゃないですか。

森永 だからそこに癒着が生まれるんですよ。たぶん暴力団の資金源になって行くんじゃないかな。アメリカでまさにそれが起こったわけですよね。