総選挙の裏側 小池氏と“密約”あった安倍首相は“騙された!”

『NEWSポストセブン』 女性セブン2017年10月19日号

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 解散を表明する前夜の9月24日日曜日の昼下がり。安倍晋三首相(63才)は昭恵夫人から紹介された都内の美容院にいた。もうすぐ選挙だ。政治家は清潔感が大切だから、ちょっと伸びた髪をカットしておこう。ついでにヘッドスパも。

 山尾志桜里前議員(43才)の不倫スキャンダルなどで最大野党・民進党の支持率が下がっているうちに選挙をすれば、自民党の手堅い勝利は間違いないだろう。ついでに、自分の「森友・加計スキャンダル」も封印されて、きれいさっぱり。首相も続投し、うまくいけば悲願の憲法改正もできるかもしれないなァ――散髪中の安倍首相はこんな風に余裕の表情を浮かべていたのかもしれない。

 そんな風に安心しきっていた理由は、東京都の小池百合子知事(65才)との“密約”があったからだった。

「安倍総理は“今後、小池都知事が自民党の強敵になるんじゃないか”と不安がってました。そこで9月上旬、安倍総理側近が小池さんと極秘に接触し、そこで小池さんは“東京五輪の成功を約束してくれるなら、憲法改正で自民党と協力してもいい”という態度を見せたそうなんです。それを聞いて安倍総理はすっかり安心しました。“小池新党が旗揚げされても、総選挙で影響は少ないし、ひょっとして味方になってくれるかもしれない”と期待して、衆院解散に踏み切りました」(自民党関係者)
都庁を出る前に記者団の質問に答える小池百合子都知事=2日、都庁(酒巻俊介撮影)
 そうして安倍首相がヘッドスパを受けている最中、水面下で事態は激動していた。同じ頃、都内にある「都民ファーストの会」事務所には、小池氏の側近である若狭勝前衆議院議員(60才)と、民進党を離党した細野豪志前衆院議員(46才)がいた。2人は小池新党の準備を進めていたが、細部で折り合いがついていなかった。2人の男の前に座っていた小池氏が鬼気迫る表情でこう言ったという。

「あなたたち、この期に及んで何をグダグダやっているの。そんな段階じゃないわよ。もう全部、私がやるから」

 ベテラン政治ジャーナリストが明かす。

「解散まで時間がないのに遅々として進まない新党結成の動きに小池氏が、“自分が新党の立ち上げを主導する”と宣言したんです。その後すぐ、民進党代表の前原誠司氏(55才)と小池氏の極秘会談が決まり、小池新党に民進党が合流する流れができあがりました。若狭さんと細野さんは、小池氏の早業を呆然と眺めるしかなかったそうです」
安倍首相は「騙された」

 翌日、小池氏は都庁で会見を開き、新党「希望の党」を旗揚げして自らが党首となることを発表。水面下の動きを一切知らなかった安倍首相は、その日の午後に行った解散表明の会見で、こんなピントのはずれた発言をした。

「希望というのはいい響きだと思う。安全保障の基本的な理念は(自民党と)同じだ」

 この期に及んで、安倍首相は“小池新党は仲間だ”と信じていたわけだ。
街頭演説する自民党総裁の安倍晋三首相=28日、東京都(共同)
 そのわずか2日後、安倍首相の目の前は真っ暗になる。民進党が事実上解党し、ほとんどの候補者が希望の党の公認を受けるという“荒業”が明らかになった。これで、小池氏が安倍首相と敵対することがはっきりし、総選挙での「自民圧勝」の目論見が一気に崩れる。

 「小池さんが訴えた主張は、消費増税反対と脱原発。自民党とはまったく逆の政策です。安倍総理と大半の自民党議員は、小池さんがそんなことを言い出すなんてまったく想定していなかった。“騙された。こんなはずではなかった”とつぶやいた安倍総理は顔が引きつって、その晩は一睡もできなかったそうです」(前出・自民党関係者)

 自民党勝利を疑わなかった菅義偉官房長官(68才)や麻生太郎財務相(77才)も、あ然呆然と立ち尽くした。菅氏は希望と民進の合流を「選挙目当てだ」と批判したが、先に“選挙目当て”で解散したのは安倍首相だった。麻生氏にいたっては、「極めて理解不能だ。国会議員じゃなきゃ首相になれない」と理解に苦しむ小池批判を展開した。

 ともあれ、自民党にも民進党にも「希望」を抱けず、投票先が見つからなくて投票所にも足が向かなかった有権者が、選挙に注目するようになったのは間違いないだろう。

「希望の党の旗揚げで、久しぶりに有権者が政権を選択できる選挙になりました。投票率は前回よりもアップするはずです。さすが小池さんはギャンブラー。今回の総選挙は長く続いた『安倍一強』が支持されるかどうかが問われています」(政治評論家の伊藤惇夫氏)

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