翌日、小池氏は都庁で会見を開き、新党「希望の党」を旗揚げして自らが党首となることを発表。水面下の動きを一切知らなかった安倍首相は、その日の午後に行った解散表明の会見で、こんなピントのはずれた発言をした。

「希望というのはいい響きだと思う。安全保障の基本的な理念は(自民党と)同じだ」

 この期に及んで、安倍首相は“小池新党は仲間だ”と信じていたわけだ。
街頭演説する自民党総裁の安倍晋三首相=28日、東京都(共同)
街頭演説する自民党総裁の安倍晋三首相=28日、東京都(共同)
 そのわずか2日後、安倍首相の目の前は真っ暗になる。民進党が事実上解党し、ほとんどの候補者が希望の党の公認を受けるという“荒業”が明らかになった。これで、小池氏が安倍首相と敵対することがはっきりし、総選挙での「自民圧勝」の目論見が一気に崩れる。

 「小池さんが訴えた主張は、消費増税反対と脱原発。自民党とはまったく逆の政策です。安倍総理と大半の自民党議員は、小池さんがそんなことを言い出すなんてまったく想定していなかった。“騙された。こんなはずではなかった”とつぶやいた安倍総理は顔が引きつって、その晩は一睡もできなかったそうです」(前出・自民党関係者)

 自民党勝利を疑わなかった菅義偉官房長官(68才)や麻生太郎財務相(77才)も、あ然呆然と立ち尽くした。菅氏は希望と民進の合流を「選挙目当てだ」と批判したが、先に“選挙目当て”で解散したのは安倍首相だった。麻生氏にいたっては、「極めて理解不能だ。国会議員じゃなきゃ首相になれない」と理解に苦しむ小池批判を展開した。

 ともあれ、自民党にも民進党にも「希望」を抱けず、投票先が見つからなくて投票所にも足が向かなかった有権者が、選挙に注目するようになったのは間違いないだろう。

「希望の党の旗揚げで、久しぶりに有権者が政権を選択できる選挙になりました。投票率は前回よりもアップするはずです。さすが小池さんはギャンブラー。今回の総選挙は長く続いた『安倍一強』が支持されるかどうかが問われています」(政治評論家の伊藤惇夫氏)

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