著者 Dean

 先日行われた朝日新聞・渡辺社長の会見は読むに堪えない内容だった。あくまで“今後も”朝日新聞が存続するという前提での会見であり、第三者委員会の結論として「廃刊すべき」ということにはならないとみなしてのものだ。それは本来、検証される側の態度としておかしい。下駄を預けた筈であるので、その結論が出てから言及すべきところだ。

 現在はどうかは知らないが、かつては「朝日新聞の『天声人語』を読まなければ大学入試に合格できない」といったことが平然と言われていた。大学入試の国語問題に天声人語が使われていたことも事実だ。

 また、90年代当時大学生だった私は歴史研究サークルに入部希望した際に「従軍慰安婦についてどう思うか?」と尋ねられ、「本当にそんなことがあったかどうか疑わしい」と答えたところ入部を拒否された。今となってはそのような左翼系サークルに在籍せずに良かったと思うが、朝日新聞の報道はそうしたごく身近なところにまで影響を及ぼしていたのだ。

 韓国に与えた影響も大きい。反日を掲げる彼らは雪だるま式に従軍慰安婦問題を誇張して、ありもしない幻想を信じているが、その発端となったのは明らかに朝日新聞の報道だ。

 日本の反保守を掲げるNew York Timesも「朝日新聞は不当なバッシングを受けている」などと見当違いも甚だしいことを述べているが、もし仮に従軍慰安婦の強制連行などという戦争犯罪が事実なら、それを追求しなかった連合国側にも重大な問題があるわけで、NYTの主張も結果的には「戦争犯罪を告発せず、その証拠を見つけられなかったアメリカ軍が無能」と言っているのも同じ事である。そのように指摘したならば記事を書いたNYTの記者も相当慌てることだろう。

 そもそも従軍慰安婦を誰がどのように強制連行したりしたのだろう?我々の父親・祖父・曾祖父の誰かが「犯人」ということになる。具体的な人名、連隊名まで朝日新聞は追求しなかった。さもあろう。実際にそんなことが行われておらず、当時の公娼制度に則って慰安婦はいて慰安所はあったが、それは新聞などで公然と募集され高級で待遇されていたのだから。

 大体、当時の朝鮮半島は日本の統治下で、金日成の率いた反日活動家はともかくとして、ほとんどの朝鮮人民は日本側で戦争に参加しており、当時の朝鮮人は大日本帝国民であったわけだ。すると、帝国軍は「自国民」の婦女子を慰安婦として強制連行したことになる。

 当時、大日本帝国軍には多くの朝鮮人士官もいた。韓国初代大統領で朴槿惠現大統領の父、朴正煕も日本軍士官だった。朝鮮人女性のみを性奴隷として徴用したら彼らの反発を招かなかっただろうか? 朝鮮半島統治に深刻な害をもたらすそのようなことを政府が許したろうか? 答えは「否」だ。だから、どこをどう探したところで強制連行を裏付ける証拠は出てくるわけがない。

 むしろ逆説的に人身売買、売春目的で女性を騙したり掠ったりする斡旋業者が日本国内でも朝鮮半島でも官憲に摘発されたという報道は当時の新聞記事に書いてある通りだ。勿論彼らは日本軍ではないし、軍の関与を裏付ける証拠もない。また当時の新聞にも「恥ずべき事」と書いてある。残念ながら当時の朝日新聞を確認していないが、当時の朝日新聞でも「恥ずべき事」との報道をしたであろう。当時の朝日新聞が強制連行の事実を軍からの検閲により報道規制されていたのなら、戦後すぐに事実を公表することも出来たし、吉田証言などという人づての話を根拠にせずとも良かった筈だ。そこに大きな矛盾がある。

 すなわち、朝日新聞が慰安婦報道をするまでに30年かかっていることだ。なぜ、当事者が存命していた当時に告発しなかったのだ?それを妨げるものがなんだったというのか?もし仮に朝日新聞が告発していたような人権蹂躙をした人間がいたとしたら、生きているうちに捕まえて裁けば良いだけのことだったのだ。ホロコーストに関与して戦争犯罪人となったナチスの将兵たちと同様に当事者が当事者として裁かれてさえいれば、国民の連帯責任というような事態にはならなかった筈だ。

 それに事は人の命にも間違いなく関わっている。戦時中の日本軍の蛮行や虐殺行為を歴史教育を通じて信じ込まされた世代には「こんな国に生まれなければ良かった」と本気で思った人もいた筈だ。私自身、「生まれながらに敗戦国民」であるという事実に悩んだし、そういう日本人としてどう振る舞うかに悩んだ。中には自身のままならない境遇と合わせて自死した人もいるだろうかと思う。事はそれほどまでに大きく深刻だ。

 今、様々な点で世界から日本が見直されて魅力ある国として評価されていることを嬉しく思うのも、そうした屈辱感や絶望感が少しでも癒やされたと感じるからだ。

 同じく吉田なのでややこしいが、吉田調書問題についてもどこをどう読めばああした記事が書けるのか疑問でならない。悪意を持たない人間ならば、たとえ小学生でももっと納得の行く記事が書ける。つまり、そこに「悪意」があって悪意に基づいて都合良く記事を書いたとしか思えない。

 朝日新聞の見解通りに記者の国語力に問題があったというなら、その程度の読解力しかない記者が入社試験をパスし、天下の朝日新聞の記者として我々一般人が立ち入ることが出来ない場所まで記者章をつけて「取材」出来ることが心底恐怖に思われてならない。

 今回の誤報問題は朝日新聞の一企業としての在り方そのものに問題があるものだ。そもそも大本営発表を垂れ流しにした反省から現在のように体制に批判的な左翼メディアになったので、今後今回の誤報問題の反省から体制に迎合的なメディアになったらなったで我々は困る。

 一度廃刊して、新しい社名で出直すべきではないのか。当然ながら、現在の読者に対しては違約金を支払う必要があるし、法的措置を受けてからのことになる。

 左派メディアは左派メディアとして必要だ。体制に批判的な意見は必要だ。今の日本人はそうしたバランス感覚に長けている。だから、先の総選挙でも日本共産党が躍進した。自民党に対して常に対論を用意する政党の必要性を国民が肌で感じているからこそ、あの党は存在するし支持もされる。

 大政党による安定政権は国民の希求だが、一党独裁の弊害は中国を見るまでもなく、55年体制後の自民党が辿った腐敗、派閥、金権政治を我々は散々目にしてきた。そして嫌悪している。だからどこの政党だろうが一党独裁は許さない。それが日本人の多くが抱く本音だと思う。

 特定秘密保護法案も出来ることなら、「わけのわからない批判議論」にして欲しくなかった。日本の国益を損なう情報を漏洩する公務員を裁くための法律なのに、「報道の自由が損なわれる」とかいうのは明らかにおかしい。新聞記者は公務員ではないし、国民の知る権利を保障した憲法に明らかに違反する。違憲の法律なら違憲立法審査にかけられる筈だが、そんな話にはなっていない。朝日の主張は明らかに正常な議論を妨害してしまった。もし抜け道があったとしたらそれは特秘法反対の論陣を張った側にある。

 体制に批判的なのは結構だが、反日的では困る。それが海外メディアなら仕方の無いことだ。だが、日本のメディアとして反日的態度をとるということは、読者も含めた日本人全員に対して敵対的ということになる。一連の誤報騒ぎは「そこ」に…つまり、朝日新聞の持つ反日的姿勢に問題の核心があるように思えてならない。

 だから、朝日新聞を愛読し、支持する読者さえも裏切れたのではないのか。根拠の曖昧な記事を掲載し、誤報の事実を認めようとせず、挙げ句に問題がのっぴきならない段階に入ってから社長の首切りで事を収めようとする。朝日新聞のしたことは我々日本人全員を戦争犯罪人とその協力者に仕立て上げた。その罪は法廷で争うとして、こうしたことが起きた以上は廃刊はやむを得ない。

 有志で新しい新聞社を作り、左派メディアとして再出発することが正しい道だと思われてならない。それはインターネットが普及した今日、スポンサーに都合が悪いことが書けず、特定の団体からの圧力に弱く、公務員の不祥事は書き立てるのに自社職員の不祥事は書かず、「報道しない自由」などというものを平然と掲げるマスメディアがその必要性や意義、報道姿勢を問われている今だからこそ必要な措置だと思う。

 朝日だからではなく、読売・毎日・産経・日経でも同じ事が起きたら同じような処分にすべきだと思う。サンゴ問題でも椿問題でも尻尾切りで逃げてきた朝日だが、今度ばかりは許されることではない。