いや、そんなことはないと評する向きもあるでしょうが、しかし、有権者は見るべきことは見ているのです。今回、小池氏は何のために新党「希望の党」を立ち上げたのか。そして、枝野幸男氏は何のために新党「立憲民主党」を立ち上げたのか、と。

 小池氏の新党立ち上げが、安倍政権と外交や安全保障などに関して考え方が大きく異なるということによるものであれば、このタイミングで安倍政権を倒す動きに出たことも理解できます。

 しかし、外交や安全保障のみならず右翼的な性格まで安倍総理とはうり二つ。それに、都議会自民党とは闘う姿勢を見せていた小池氏も、安倍総理とは良好な関係を維持する風を装っていたではありませんか。胸に東京五輪のバッジをつけてあげたり、あるいは「銀座の恋の物語」は私の十八番だから一緒にデュエットしたいと言ったり…。

 何だったのでしょうね、あれは。小池氏の性格をよく承知していた人々は、いかにも小池氏らしいと感じていたと思われます。そして、今回の動きも十分予想されたことだ、と。

 よく言えば、機を見るに敏、悪く言えば風見鶏。「政界渡り鳥」と言われながらも政治の世界で名を挙げることに邁進(まいしん)してきただけなのです。つまり、小池氏の新党立ち上げに大義などないのです。今なら選挙に勝てると思って衆議院を解散した安倍総理と、今なら新党ブームの風に乗って総理になれるかもしれないと考えた小池氏。

 その一方で、やむにやまれず新党の立ち上げを余儀なくされた枝野氏。党名はどうであれ、新党を立ち上げ、志を同じくする者たちとこれまでどおり自分たちの理想を実現するために立ち向かうしかないのです。
中野駅前で立憲民主党の街頭演説を行う枝野幸男代表=4日、東京都(納冨康撮影
中野駅前で立憲民主党の街頭演説を行う枝野幸男代表=4日、東京都(納冨康撮影
 もちろん、立憲民主党がリベラル派の集団であれば、当然のことながら右寄りの有権者には敬遠されるかもしれませんが、しかし、自分たちの思想に忠実である面は理解されるでしょう。つまり、純粋さにおいては小池氏よりも枝野氏の方がはるかにまさる、と。

 ただし、リベラル派にもいろいろな人がいることは指摘しておかなければなりません。全員が純粋というわけでもないでしょう。というのも、菅直人元総理などは、小池氏の希望の党に民進党が合流するとのニュースが流れたときに、小池氏は「日本のメルケル」になってほしいとエールを送ったほどなのですから。