さらに興味深い事実は、銃保有者の19%が、銃規制に反対する全米ライフル協会のメンバーであることだ。同協会の会員数は500万人に達している。同協会は潤沢な資金を背景に、銃規制強化を阻止するために強力な議会工作をしている団体である。同時に共和党やトランプ大統領の最大の政治献金団体でもある。共和党が銃規制に消極的な態度を取る理由の一つが、同協会とのつながりにある。

 そもそも、アメリカ人にとって銃保有は歴史的にも特別な意味を持っている。1791年に成立した憲法修正条項(1条から10条)は「権利章典」と呼ばれ、アメリカ民主主義の基本になっている。修正第1条では信教・言論・出版・集会の自由と国民の請願権を規定している。

 実は修正第2条は「武器保有権利」について規定している。そこには「規律ある民兵団は自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し、携帯する権利は侵してはならない」(米大使館訳)と書かれている。要するに民間人が銃を携帯する権利を保障しているのである。もしリベラル派が銃保有の禁止を求めるならば、この条項を修正する必要がある。

 今まで数多くの銃規制法が成立しているが、その多くはテクニカルな規制にとどまっているのも、修正第2条が存在するからである。1993年にレーガン大統領暗殺未遂の際、ブレイデフィ報道官が銃弾を浴びて半身不随になった事件が起こった。それを契機に「ブレイデフィ法」が成立した。

 同法で規制されたのは銃を販売する際の身元調査の実施と重犯罪者、精神病者、麻薬中毒者、未成年に対する銃販売だけであり、銃保有そのものの規制ではなかった。また憲法による規定以外に、各州は独自の銃規制を行っている。

 たとえば、マサチューセッツ州では銃を保有するためには許可書が必要であり、ニューヨーク市やワシントンDCでは銃保有を禁止する動きもみられる。ただ、最高裁は2008年に無許可で銃保有、携帯を禁止す法律の合法性を巡る係争であるワシントンDC対ヘラー裁判で、修正第2条は有効であり、ワシントンDCの法律は憲法違反であるとの判断を下している。
トーマス・ジェファーソン像(iStock)
トーマス・ジェファーソン像(iStock)
 そして、アメリカの銃保有問題を理解するには、修正第2条の持つ意味をよく知る必要がある。独立宣言を書いたトーマス・ジェファーソンは「自由人は武器の使用を制限されるべきではない」と主張している。