福田充(日本大学危機管理学部教授)

 現地時間10月1日、米西部ネバダ州ラスベガスの野外コンサート会場に向けて、男がホテルの一室の窓から銃を乱射する事件が発生、58人が死亡、約500人が負傷した。米国の銃乱射事件で史上最悪の事態である。
銃乱射事件の現場を調べる捜査関係者=10月3日、米ラスベガス(AP=共同)
銃乱射事件の現場を調べる捜査関係者=10月3日、米ラスベガス(AP=共同)
 警察発表によると、実行犯はスティーブン・パドックという64歳の白人男性。この容疑者は、ホテルの部屋で銃により自殺した。現場は、ラスベガスで有名なカジノホテル、マンダレイ・ベイ・リゾート・アンド・リゾートの32階の一室。そこにアサルト・ライフルなど23丁の銃を持ち込み、その窓から約400メートル離れたカントリーミュージックのコンサート会場に向けて十数分間、銃を乱射した。

 コンサート会場に集まった2万2千人の観客を標的にした無差別事件であり、現代の無差別テロの傾向に似ている。ラスベガスという観光地、そしてランドマークのホテルから、コンサートというメディアイベントの大規模集客施設を狙った、典型的なソフトターゲットへの攻撃といえる。

 また、容疑者はラスベガスから約130キロ離れたメスキート在住の米国人という意味でローンウルフ(一匹狼)型であり、ホームグロウン(自国育ち)型といえる。そういう意味では、典型的な現代的テロリズムの特徴を備えた事件であり、実際、「イスラム国」(IS)系のアマク通信はこのラスベガス銃乱射事件に対して犯行声明を出し、男は「2~3カ月前にイスラム教に改宗した」と発表した。

 しかしながら、この事件は「テロリズム」ではないとされている。実際、連邦捜査局(FBI)は記者会見で、この容疑者にはイスラム国との接触経験はなく、そのほかの国際テロ組織との関連性もないと発表し、この事件は「テロリズム」ではないとする判断を示した。