極めつけは、ビラの中にある「堺市にお住まいの方の73%の方が停滞・衰退していると答えました!」という記述だ。そのデータ元は「2017年2月 大阪維新の会 調べ」と非常に小さな文字で記されているが、実際にどのような調査をしたのかは全く示されていない。新聞社や放送局のアンケートなら、そんなデータの示し方では全く通用しないだろう。それでも、「73%の方が停滞・衰退」と大書すれば、堺市民の不満を煽ることだけはできるのである。

図2
図2 『維新プレス号外 堺特集号vol.2』
 さらに、大阪維新の会が配布した『維新プレス号外 堺特集号vol.2』(図2)に記されたグラフをよく見てみよう。堺市と大阪市の借金を比較したものなのだが、左のグラフ(堺市)と右のグラフ(大阪市)とでは目盛り幅が約4倍も違う。つまり、堺市の借金がわずかに増え、大阪市の借金がわずかに減っただけの事実を、あたかも非常に大きな差があるように見せているのである。そのことで、維新市長の大阪市は優れているという錯覚を与えようとしているのだ。しかしながら、大阪市の借金が減っているのは維新市政の手柄ではない。関市長と平松市長の努力によって、橋下氏が大阪市長になる前から負債削減路線は軌道に乗っていたのである。むしろ、維新市政になってからは、借金の減り幅が停滞傾向にあるのだ。

 もちろん、堺市の財政事情が悪いわけでもない。自治体の借金が健全な額であるか否かは、単なる金額ではなく、実質公債費比率(収入に対する借金返済額の割合)によって判断されるからである。つまり、ある人物に100万円の借金がある場合、それが多すぎるかどうかは、当人の収入によって判断されるのと同じである。そこで、堺市、大阪市、大阪府の実質公債費比率を比較すると、順に5.5%、9.2%、19.4%となる(2015年度決算)。堺市の数字は、全国20政令指定都市中4位の健全さだ。これに対して、大阪市は8位である。さらに、橋下知事、松井知事と続く維新府政の間に大阪府の借金は増え続け、ついには起債許可団体に転落してしまっている。端的に言えば、大阪維新の会は、大阪における実質的な行革成果を何ら生み出していないということなろう。

 借金残高が年間収入の何倍に相当するかを示す「将来負担比率」を見ても、堺市は全国20政令指定都市中3位なのに対して、大阪市は9位にとどまっている。2012年から2016年における企業の本社流入数(=転入-転出)に至っては、堺市がプラス28社で政令指定都市中2位である一方、大阪市はマイナス468社で同最下位だ(帝国データバンク調べ)。自市そのものの廃止議論を7年もの長きにわたって延々と続けているような自治体は、政情不安だと思われても仕方あるまい。いずれにせよ、停滞しているのは維新市政、維新府政に他ならない。それでも、大阪維新の会は現堺市政を「停滞」だと決めつけ、目盛りを操作したグラフまで駆使して不満を煽るのである。大阪以外では知られていないかもしれないが、正しく事実を直視すれば、一事が万事このような次第なのだ。