佐々木信夫(中央大大学院教授)


 「橋下徹さん、今こそ出番ですよ!」。こう強く感じているのは、おそらく筆者だけではないだろう。

 そもそも目まぐるしい政局の末、始まった総選挙。大義なき解散とか自己都合解散とか言っているうちに、結局は「民進党解党解散」の色彩となった。その受け皿に小池百合子氏の率いる希望の党と枝野幸男氏の立憲民主党が担うことになりそうだが、客観的にいうと、自公体制に大きな影響の出ない「民進党の区画整理事業」の感が強い。

 ただ、総選挙は政権選択を含む国民の政策選択の機会だが、日本を一括りに議論する視点がチョッとずれていないか。実は東京、名古屋、大阪の3大都市圏という「国」と、それを除く地方圏の「国」の2つを内包するのが日本であり、そこで抱える問題群は全く違っているといってよい。

 人口減少を冠にして議論するにしても、国土面積の10%足らずに国民の60%が集中する大都市圏での問題と、国土面積の90%を占めるが国民の40%しか住んでいない地方圏では、人口減少に伴う問題の所在が全く違うからだ。

 例えば、政策決定の「見える化」を売りに戦おうとする小池氏の発想(希望の党)が、過疎問題、限界集落、地域衰退と戦っている地方圏にピンとくるだろうか。そうした話より、どうすれば人口流出を食い止め地方創生ができるか、補助金などの強化策を地方圏では望んでいる。
党首討論会に参加した希望の党の小池百合子代表(中央)。左は安倍晋三首相、右は共産党の志位和夫委員長=10月8日
党首討論会に参加した希望の党の小池百合子代表(中央)。左は安倍晋三首相、右は共産党の志位和夫委員長=10月8日
 こうした内在する問題の根底が違うことを見抜かずして「全国津々浦々に希望のいきわたる政治を!」、そのために「国政の見える化を図る」、「消費税凍結を迫る」と訴えても、それはどちらの「国」の話ですかという、答えが返ってくる。日ごろ、各地での講演活動、対話機会の多い筆者からすると、自民も含めてだが、特に新党ブームの風に乗って受かろうと浮足立つ旧民進党グループの動きに違和感を持つが、それは私一人だけだろうか。

 選挙というものは、政治家の本性が透けて見えてくるものだ。「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればタダの人」、有名な元自民副総裁・大野伴睦の言葉だが、これを地でいくような動きが連日報じられてきた。

 衆院解散でバッジを外された議員はタダの人になるまいと必死。その空席を狙って「ドサクサでもいい、当選すれば代議士だ」とばかり新人が食い込んでくる。特に解党後の民進党の面々は希望だ、リベラルだ、立憲民主党だと蜘蛛の子を散らしたような狼狽ぶり。要はみな当選第1主義、選挙ファーストなのだ。

 突然の解散もそうだったが、それ以上に驚くのは「希望」を国民に押し付けてきたことだ。希望は国民一人ひとりの心の問題だが、それを政党名に冠して選挙の選択肢になった。ほんとうに希望のある話なのかどうか。