もちろん、可能性は否定しない。閉塞感の漂う自民1強政治を打破すべきとの空気があるのも事実。ただ、小池氏が全面に出て政権交代を訴える以上、本来なら党首として闘う小池氏は東京都知事を辞めて総選挙に出馬し自民と対峙する顔にならなければならない。

 そもそも都知事が首相を兼務することも衆院議員を兼務することもできない。だからこそ、再三、菅義偉官房長官や小泉進次郎自民党幹事長代理らが「当然出てきて闘うべき」と挑発を繰り返してきたのは理にかなう。

 一方で、東京、名古屋、大阪など大都市圏の無党派層の票を取り込みたい思いか、松井大阪、大村愛知、小池東京の3知事が「3都物語」と選挙協力で合意し連携を表明した。維新代表の松井氏が「ここにいる3人は衆院選には出ません、出たらこの合意はご破算です」と公言したように小池氏が都知事であり続けることを前提に事を組み立ててきた。
9月30日の3知事共同発表後、握手する(左から)小池百合子・東京都知事、大村秀章・愛知県知事、松井一郎・大阪府知事
9月30日の3知事共同発表後、握手する(左から)小池百合子・東京都知事、大村秀章・愛知県知事、松井一郎・大阪府知事
 この2つの足かせを小池氏はどう切り抜けるのか。筆者はそれ以上に、第3のそして最大の足かせは都知事1年足らずで都政に重きをおくといった都民への裏切り行為が許されるのか、という点にあると見る。1年前の都知事選の票(291万票)も2カ月前の都民ファ55議席の票も逃げないと踏んでの「東京は希望の党一色」という見方だろうが、国政復帰に色気を見せたことで、政治家としての小池氏の信用が急落する可能性は高い。

 権力の亡者、安倍首相への驕り高ぶり批判はそっくり小池氏に向くのではないか。石原慎太郎氏の都知事辞任後、猪瀬直樹氏、舛添要一氏と短命政権が続き、混乱の渦中にある首都政治をキチッと立て直し国政を安定させるのが都知事の役割ではないのか。

 ただ、大きな政局をつくった小池氏のやり方は、そもそも橋下氏の創設した大阪維新の会、日本維新の会の成功体験をモデルにしたものだ。地域政党が国政を揺るがす存在にまで仕立てた、その元祖は橋下氏だ。その橋下氏、なぜいま動かないのか。個人的な事情、氏の考える日本改革像の違いなど、氏の動かない理由、思いがあることは重々承知の上であえて言おう。「橋下さん出番です!」と。

 「佐々木さん(筆者)、民間人っていいねえ」と自由を謳歌している自身の日常を満腹感で話す氏に実感は籠るが、一転、講演で身振り手振りを交えながら全身で話す姿をみる限り、日本を変えようという野心満々の政治家そのものだ。

 大阪府知事、大阪市長の8年で20年分のエネルギーを使い、最大の政治目標としてきた大阪都構想の住民投票で2年前、1万票の僅差で敗れたことが政界引退表明の引き金になっているが、そんなことはどうでもよいのではないか。充電、エネルギー蓄積のうえ、ふたたび政治の舞台に立つべきだ。