しかも、少子化が進んでいる以上、こういう年老いた親の介護は少ない子供、下手をすると1人しかいない子供が仕事を辞めてでも介護しなければならないという状況になり、とても「結婚しない人の自己責任」とか「子供ももうけないで自業自得」などとはとても突き放せない問題として日本社会に降り掛かってきます。

期日前投票に一番乗りし、一票を投じる高校生=11日午前、大阪府箕面市(共同)
期日前投票に一番乗りし、一票を投じる高校生
=2017年10月11日、大阪府箕面市(共同)
 そうなると、利益代表という意味において地域で区切られたいまの選挙制度は日本の政治改革を考えるにあたって本当にふさわしいのか、ひょっとしたら、年齢別の利益代表や、利害関係の異なる層に対するより包括的な選挙制度を考えなければならない時代に入ったのではないかとさえ思います。地域の代表が70代の衆院議員であって良かった時代は、それこそ地元に大地主がいて、名士がいて、地域を代表する人物が住民から選ばれて議員となる政治プロセスを意味していました。

 しかしながら、デジタル全盛時代になってくると、もはや個別の政策論争を国会で議論するよりも、より簡便で多くの人たちが参画できる政治手法も出てくることになります。電子投票はいまだ認められておらず、公職選挙法ではインターネットの利活用もきちんと解禁されているとは言いにくい状況です。社会の発展や技術の進歩が私たちの暮らしに与える影響が大きくなっているにも関わらず、立法も行政もこれに追いつかないのは、文字通り議員代表制、間接民主主義そのものが制度疲労を起こしているからではないかとさえ思います。

 有権者の意見を広く取り入れるためにも18歳以上に選挙権を与える改革や、区割りの変更などで一票の格差を是正するというのは極めて大事なアプローチであり、一歩一歩進めていくべきものです。その一方、今回の選挙は古色蒼然(そうぜん)とした選挙戦での勝った負けたが目の前の国難である安全保障と社会保障について適切な議論を向けきれていない、議院内閣制や政党政治が持つ枠組みが遅すぎてさまざまな問題解決の阻害要因になっているようにも感じます。

 今回、さほど争点にもならない消費税10%への引き上げや、それに伴う「社会保障と税の一体改革」で日本の形もある程度の道筋がもたらされるかもしれない割に、どのように行政が国民の声を吸い上げて技術革新や国際競争の中で日本の取るべきポジションやリーダーシップを確保するのか、また、より産業の前線で戦っている日本人や、家族の暮らしで困窮している日本人がより良く生きていくことのできる環境を実現するために間接民主主義、政党政治にどんな改革を必要とするかは、もう少しきちんとした議論を積み上げていくべき状況であることは言うまでもありません。少子高齢化で衰退に向かう日本の未来の青写真を描けるような議論は、今回の選挙では沸き起こらないものなのでしょうか。