このところ、都連を不透明と批判してきた小池氏自身が、不透明な決定を繰り返している。

 都議選直前の6月に唐突に公表した築地と豊洲の市場両立案は都庁官僚の誰とも討議した形跡はなく、毎日新聞の情報公開請求にも「記録なし」。小池氏自身も会見で「最後に決めたのは人工知能、つまり私」とはぐらかした。

 移転延期に伴う補償先や補償額を求めた筆者の情報公開請求に対しても黒塗りだったし、特別秘書の給与の情報公開請求も黒塗り。後者については非開示決定に対しジャーナリストから裁判を起こされそうになると、慌てて公開する始末だった。

 小池氏が強調する「情報公開は一丁目一番地」というキャッチフレーズは、あくまで権力奪取のための方便で、自らに刃が向かう情報については非公開という自己都合である。

 それでも小池氏の存在がここまでクローズアップされたのは、安倍自民党の森友・加計疑惑への反感から、有権者が投じる先を探し求めていたからだ。

 小池氏はこの1年、繰り返し敵対勢力の「失点」をテコに騒動を拡大させ、影響力はそのたびに高まった。都議会のドン、内田茂前都議に偏重した都連への「口撃」が喝采を浴びたのも、内田氏に依存した都連の不透明な決定プロセスという「つけ入る隙」があったからだ。

 その総括はどれだけ組織内でなされたのだろうか。強力なカリスマである内田氏が存在する間、「弱点」は知事選後も見直されずに2月の千代田区長選、7月の都議選と持ち越された。これらの選挙に連戦連敗し、内田氏が引退した今が変革の最大のチャンスである。
自民党千代田総支部総会後、議員引退を表明した内田茂都議=2月25日、東京都(鈴木健児撮影)
自民党千代田総支部総会後、議員引退を表明した内田茂都議=2017年2月、東京都(鈴木健児撮影)
 会長選の方式をめぐる対立は、内田氏に近い丸川珠代前五輪相を推す萩生田光一党幹事長代行ら細田派系の旧執行部と、鴨下一郎氏を推す石破派系議員との間の主導権争いの側面が指摘されたが、果たしてそんなことをしている場合なのだろうか。

 「政権交代を目指す」としながら首相候補についてははぐらかし続けた小池氏は、選挙後、大連立をいとわぬ戦術を仕掛けるだろう。「疑心暗鬼」を抱かせ、存在感を大きく見せるテクニックだとの見方もある。

 有権者不在のこうした便法に軽々しく応じるような政党や政治家こそ、次の「ブラックボックス」になる。

 総選挙後、自民党東京都連が脱ブラックボックスの政治に意識的に取り組めば、小池都政への明確なアンチテーゼとなる。さもなくば、ブラックボックスの中心が「内田氏」から「小池氏」に移転しただけ。再びわかりにくい行政が、首都で繰り広げられることになるだろう。