2017年10月17日 17:59 公開

テリーザ・メイ英首相とジャンクロード・ユンケル欧州委員長は16日の夕食会後に出した共同声明で、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる交渉は「今後何カ月かの間、加速させるべきだ」と述べた。

メイ首相とユンケル委員長はブリュッセルで開かれた夕食会について、「建設的で友好的」だったと評価した。

今回の会談は、欧州連合(EU)のミシェル・バルニエ首席交渉官が「行き詰まった」としていた直近のブレグジット交渉の後に行われた。

英国政府関係者によると、夕食会は「何週間も前から予定に入れられていた」という。

メイ氏とユンケル氏は「欧州の、そして世界を取り巻く問題について、広範囲で建設的な意見交換をした」と述べた。会談内容にはイラン核合意の維持やテロとの戦いのために欧州の治安を強化することも含まれていた。

夕食会にはバルニエ氏と英国のデイビッド・デイビスEU離脱相も同席。欧州連合基本条約(リスボン条約)第50条に基づくブレグジット(英国のEU離脱)交渉について話し合った。

声明文では「メイ首相とユンケル欧州委員長は第50条に基づく交渉のこれまでの進捗について振り返り、今後何カ月かの間、取り組みを加速させるべきだと合意した。夕食会は建設的で友好的な雰囲気で行われた」とした。

BBCのケビン・コノリー欧州特派員は、夕食会の後に発表された共同声明は「言外に伝えようとする傑作」と説明する。

「ブレグジット交渉がEU加盟27カ国と英国の間で行われていると公式に書かれている。当然のことに言及しており、英国が個々の国と直接交渉しようとすることへのブリュッセル(EU)の不快感を示唆する可能性がある」

またコノリー記者は「この格言的な声明は、今年4月にダウニング街の首相官邸で行われた前回の夕食会の失敗を繰り返さないためなのかもしれない。前回EU側は英国を『妄想に取り付かれている』と表現し、夕食会に出された食事すら非難していたと伝えられているので」と付け加えた。

EU27カ国の首脳が出席するEU首脳会議が今週予定されるなか、夕食会では、交渉初期の3つの争点である、英国がEUを離脱する際に支払う「手切れ金」の額、英国に住むEU市民やEUに住む英国民の権利、北アイルランドの国境管理をめぐる問題が中心に話し合われるとみられていた。

メイ首相は、将来の貿易協定に関する協議を開始するため、EU首脳らがバルニエ氏に信任を与えることを望んでいる。

だがEUは、3つの争点で「十分な進捗」があるまで、英国のEU離脱後の関係について話し合いを始めない方針を示している。

バルニエ氏は、英国の手切れ金の額をめぐる合意はまだないとも話した。

先週明らかになった内部文書の草案には、英国が交渉の主要な争点で溝を埋めるためさらに努力するのであれば、EUは貿易協議の可能性に向け12月から準備を始めると示唆されていた。

メイ首相は夕食会の前、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相とブレグジットについて電話協議した。

合意なければ物価上昇

一方、貿易協定がないままEUを離脱すれば、何百万人もの人々の生活費が大幅に上がると示唆する調査結果が新たに出た。

英シンクタンク「レゾリューション・ファウンデーション」とサセックス大学の貿易専門家らの調査によると、平均的な家庭で輸入品に支払う額が年間260ポンド(約3万9000円)増えるという。

輸入品の消費量が最も多い300万世帯では、増加額がその2倍近くの年間500ポンド(約7万4000円)になるという。

また調査では、ブレグジットの合意がなければ、欧州からの輸入品にもほかの世界貿易機関(WTO)加盟国と同じ関税が課され、乳製品は45%、肉類は37%それぞれ関税が上昇すると示された。

しかし英政府の報道官は、閣僚たちは商品とサービスの摩擦のない貿易を可能にする合意がEUとできると楽観視していると述べた。

(英語記事 Brexit negotiations should accelerate, say May and Juncker