小林良彰(慶応大学法学部教授)

 突然の衆議院解散に伴う総選挙の投開票日が間近に迫っている。現時点までのメディア報道では与党が堅調に推移しており、今年7月に行われた東京都議会議員選挙における自民党惨敗とは様変わりな状況である。

 そこで、当研究室でも全国の有権者を対象に意識調査(注)を行った。まず投票意欲は、「すでに期日前投票や不在者投票をした」と「必ず投票に行く」を合わせると、前回2014年衆院選調査時よりも数ポイント高くなっており、有権者の関心の高さがうかがえる。ただし、投開票日の天候次第によっては前回よりも下がる可能性も残されている。

 ここ数年、政党支持率では自民党が他党を圧倒している。その自民党が2009年総選挙で負けた原因は、自民党を支持しながら約25%が民主党に投票したことと、政党支持を持たない無党派層の取り合いで「民主党60%vs自民党30%」とダブルスコアで負けたことである。それにより、基礎票は多いのにもかかわらず、選挙結果では大敗したのだった。

 今回はどうだろうか。調査回答者の内、「すでに期日前投票や不在者投票をした」と「必ず投票に行く」と回答した者に限ってみてみると、自民党支持者の88・8%が小選挙区で自民党に投票すると答え、比例代表でも85・2%が同様に答えている。つまり、今度の総選挙では自民党の歩留まり率がこれまでにないほど高く、支持者の票が他党にこぼれていない。

 また、同様に無党派層の投票行動をみると、小選挙区では25・8%が自民党に投票すると答え、希望の党の27・5%と並び、立憲民主党の13・1%を引き離している。ただし、比例代表では、逆に無党派層の28・3%が立憲民主党に投票すると答え、これに希望の党の27・0%が続き、自民党は22・1%である。いずれにしろ、2009年総選挙のように、特定の野党にダブルスコアで引き離される状況ではない。
街頭演説する立憲民主党の枝野代表=2017年10月18日、新潟県長岡市(中島悠撮影)
街頭演説する立憲民主党の枝野代表=2017年10月18日、新潟県長岡市(中島悠撮影)
 衆院選序盤では人気が高かった希望の党は、メディアが調査をする度に支持を落とし、今回の調査でも、比例代表では立憲民主党と逆転している。その立憲民主党も準備期間が足りなかったことから、小選挙区で十分な候補者を立てることができずにいる。こうして東京では野党の希望の党と立憲民主党、大阪では日本維新の会と立憲民主党が票を取り合って分散することで、与党の自民党が50%に届かなくても小選挙区で当選することができる構図になっている。