2017年10月20日 17:29 公開

カリシュマ・バスワニ記者、アジア・ビジネス担当

東京株式市場では日経平均株価が1988年以来の、連続上昇記録を更新している。

大企業製造業の景況感はここ10年で最高。経済成長も6四半期連続のプラス成長で、これも過去10年で最長だ。

日本の安倍晋三首相が、今週末の衆議院選挙での勝利にかなり自信を持っているように見えるのも驚きはないだろう。

だがこの好況感は、どのくらいアベノミクスのおかげなのだろう?

アベノミクスとは?

まずは簡単なおさらいから。

首相自身の名が冠されたアベノミクスとは、安倍首相が2012年に政権の座に就いた際に打ち出した一連の政策だ。

アベノミクスの3本の「矢」を使って、日本経済を20年続く停滞から脱却させ、活性化させるというものだった。

  • 金融政策 ― 消費者や企業がより簡単にお金を借りられるよう、短期金利をマイナスにする日本の超金融緩和政策が実行された
  • 財政出動 ― 政府がインフラ投資などを増やしたり、減税などの財務上のインセンティブを企業に与えたりすることで経済にお金を投入する
  • 構造改革 ― 企業改革、働く女性を増やす、労働市場の自由化、労働力不足を補い経済成長につなげるため移民の受け入れ数の増加

しかし、安倍氏が2012年にした公約は実現していない。日本経済は最近上手くいっているものの、安倍氏が当時掲げた目標には達していない。

大半の日本人は現在の経済状況が1年前よりも良くなったと感じているものの、米ピュー・リサーチ・センターの調査によると、特に若者や仕事を持つ働き盛りの世代で将来への不安がまだ大きいという。

その理由は、これまでのところアベノミクスの成果は良く言ってもまちまちだからだ。

アベノミクスの最初の2本の「矢」を積極的に推し進めたのは、安倍氏の功績だと言える。

だが、おそらく最も重要な3本目の矢の構造改革は大いに欠けており、アベノミクスは3つの矢全てが連動しなければ、そこまで効果が出ない。

雇用はあれど賃金は上がらず

当然、失業水準が40年近い間で最低水準となっている事実を安倍氏は自賛できはするが、給与はまだそこまで上がってはいない。正社員の賃金は8月、平均0.7%上昇したが、過去4年間であまり変わっていないのだ。

悪循環が起きている。企業の業績は好調だが、それは国内消費が伸びているのではなく、日本の輸出企業の商品が海外で売れているからだ。

企業が国内では製品が売れるとは考えていないため、企業は利潤を抑え、そのため賃金も引き上げず、結果として人々は支出に積極的になれない、といった風に悪循環は続く。

これだと、アベノミクスの3本の矢の1つ、消費者物価を上昇させ、インフレ率2%を達成するという目標の幸先はよくない。現在の物価の推移は、目標よりもはるかに低い。

安倍氏はまた、経済成長についてもあまり満足してはいられない。英キャピタル・エコノミクス社によると、経済成長は今年の1.7%から2019年には1%に鈍化する。国際通貨基金は来年の成長率を0.7%と予測しており、もっと悲観的だ。

この先はどうなる?

複数の世論調査が予測している通り、もし安倍氏の自民党が22日に勝っても、アベノミクスのおかげではないだろう。

北朝鮮に関する強硬姿勢と、首相がころころと変わる状況が長らく続いていた日本で、安倍首相が多少なりとも政治の安定性を表していることが、安倍氏を助けているすべてだ。

しかしもし安倍氏が再び信任を得たとして、片付いていない仕事が首相には山ほど残っている。経済成長を続けるために、安倍氏は消費税の引き上げを考えているが、そうなると家庭にさらなる圧力をかける可能性がある。物価を下げるのではなく上げたい時に、消費を抑制してしまうかもしれないのだ。

まずは日本経済の構造改革、規制緩和、労働市場の自由化、日本を外国人にとって投資しやすくする、などの約束を果たすことから始めるべきかもしれない。

しかし、構造改革が実現しなければ、安倍氏はまた新たな政争に直面するだけかもしれず、次回はそれほど幸運に恵まれない可能性もある。

(英語記事 Japan elections: Will Abenomics help Shinzo Abe win?