2017年10月24日 12:38 公開

西アフリカのニジェールで今月死亡した米軍兵士の妻は23日、ドナルド・トランプ米大統領が遺族に哀悼の意を伝える電話をかけた際に夫の名前を覚えていなかったと語った。

殉職したラ・デイビッド・ジョンソン軍曹の妻、マイーシャ・ジョンソンさんは米ABCニュースのインタビューで、トランプ氏の口調や「言葉につっかえる」様子に「泣いてしまった」と話した。

一方でトランプ大統領は、ジョンソン軍曹の名前を「ためらわず」に言ったと主張。電話での会話は「とても恭しいものだった」と述べた。

ジョンソン軍曹は今月4日、イスラム過激派集団の襲撃で死亡した。

トランプ大統領がジョンソン軍曹の妻にかけた電話をめぐっては、電話を遺族と一緒に聞いた民主党のフレデリカ・ウィルソン下院議員(フロリダ州選出)がトランプ氏が無神経だったと非難したのをきっかけに論争が沸き起こった。

ジョンソン軍曹の家族と親しいウィルソン下院議員は、トランプ氏が遺族への電話で軍曹は入隊した時点で職務の危険性について「分かっていたはず」だと発言したと非難。大統領はこれを否定し、議員を罵倒していた。

これを受けて今度はマイーシャさんが、ウィルソン議員の主張を裏付けるとみられる発言をした。

マイーシャさんは、「大統領は、彼(ジョンソン軍曹)が入隊すればどんなことになるのか分かっていたはずだけど、それでも辛いねと言った。(中略)声の調子や言い方にとても腹が立って、泣いてしまった」と語った。

「大統領は目の前に、私の夫についての報告書を置いて、それで実際にラ・デイビッドと言ったんです。私の夫の名前を思い出そうとしながら、言葉につっかえていた。私の夫は国のために戦って、国のために命を賭けたのに、どうして名前を覚えられないんですか?」


トランプ氏の反応

トランプ大統領は23日にツイッターで、「ラ・デイビッド・ジョンソン軍曹の妻と、とても恭しい会話をしたし、彼の名前を最初からためらわずに言った!」と書いた。

トランプ氏は記者団に対し、ウィルソン議員が主張する電話の会話内容は「完全な作り話」だと述べ、「彼女が言ってるようなことは言っていない。(中略)とても良い会話だった」と語った。

ホワイトハウスはトランプ氏と殉職兵士遺族との会話は、公開されるべきものではないとしている。


論争はどのように始まったのか

ジョンソン軍曹は、ニジェールで待ち伏せ攻撃され死亡した特殊部隊兵士4人の一人。トランプ氏は兵士たちの死亡直後に遺族に哀悼の意を表明せず、12日後に記者から質問されるまで殉職兵について公の場で触れることもなかったと批判されていた。

批判に対しトランプ大統領は、バラク・オバマ前大統領や他の前任者も殉職兵士の遺族に電話をかけなかったと虚偽の主張をした。

ジョン・ケリー大統領首席補佐官の息子がアフガニスタンで殉職した際もオバマ大統領(当時)は電話をかけなかったというトランプ氏の指摘には、反発の声が高まった。

ホワイトハウスはその後、トランプ氏がニジェールでの殉職者の遺族と話したと発表したが、時期については明らかにしなかった。


ニジェールで何が起きたのか

10月4日にニジェールの隣国マリとの国境近くで偵察活動に当たっていた米軍兵士3人が待ち伏せ攻撃に遭い死亡したとの報告がされた。

2日後にニジェール軍によってジョンソン軍曹の遺体が発見され、米軍の死亡者は4人だったと判明した。

ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は23日、ニジェールで攻撃してきた武装集団は小型武器やロケット砲、機関銃を使っていたと述べた。

ダンフォード氏は、捜査の初期段階では、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)とつながりのある地元部族の戦闘員たちが犯人だと示されていると語った。

一部情報では、待ち伏せ攻撃には最大50人が関わったとされる。

ダンフォード氏によると、戦闘が1時間続いた後、米軍兵士たちは支援を要請した。支援要請になぜこれほどの時間がかかったのかは不明。

支援要請から1時間以内に、フランス軍のミラージュ戦闘機が飛来。同日午後には仏軍の攻撃ヘリコプターやニジェール軍の緊急部隊が到着した。


ニジェールでの米軍の任務

ダンフォード氏によると、ニジェールには800人の米軍兵士が駐留しており、規模はアフリカで最大。イスラム過激派と戦うニジェール軍の訓練をしているという。

しかし、一部の米連邦議会議員にとってはニジェールでの展開規模は初耳だったようだ。

23日には、少なくとも3人の上院議員がニジェールにこれほどの数の兵士が駐留しているとは知らなかったと述べた。

上院軍事委員会のメンバー、共和党のリンジー・グレアム議員(サウスカロライナ州選出)は「なぜそこに(米軍)がいて、何をしているのか、よく分かっていない」と認めた。

<ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州選出)はツイッターで、「戦争好きなリンジー・グレアムでさえ、どれがどれか分からなくなっている。つまり、あまりにあちこちでであまりにたくさん戦争に関わりすぎているということだ」とコメントした>

(英語記事 Myeshia Johnson: Soldier's widow says Trump made me cry