加計学園問題については、野党やマスコミの姿勢はさらに深刻なものである。端的にいえば「報道しない自由」とフェイクニュースの問題である。それに加えてこの問題を追及している野党側の方こそ政治的・道義的な問題が生じていることである。

 さて、あらためて加計学園問題とはなにか。加計学園の加計孝太郎理事長が首相と友人関係にあり、そのため同学園の獣医学部新設について優遇されたという疑惑のことである。この問題についても筆者は何度もこの問題について書いてきた。そもそも獣医学部の新設についての申請自体を認めない状況がおかしい。文科省などの官僚側の規制のひずみが深刻であった。そのため獣医学部新設の申請を認める、という議論が国家戦略特区会議で行われた。申請されたが、それを認めるかどうかは別問題である。この点さえもごっちゃにする議論は後を絶たない。
2017年7月、衆院予算委員会の閉会中審査で、玉木雄一郎氏の質問に対して答弁する安倍晋三首相(右、斎藤良雄撮影)
2017年7月、衆院予算委員会の閉会中審査で、玉木雄一郎氏の質問に対して答弁する安倍晋三首相(右、斎藤良雄撮影)
 そして、日本獣医師会からの圧力などもあり、なんとか1校だけ申請が認められた。そのときに、十数年にもわたり繰り返し申請許可を求めていた加計学園が最優先で認められただけである。新潟市の候補も長年にわたり申請許可を求めていたが、あまりに時間がかかりすぎて途中で断念した。またしばしば話題になる京都産業大学は最近プレーヤーとして登場してきたにすぎない。京産大自身の説明でも、準備不足ということが辞退の主因になっている。時間がかかりすぎてライバル校が断念、または準備不足でもまた別のライバルが断念したために、加計学園が長年の準備を認められて申請することを許されただけである。

 ここに安倍首相の「友達」だからそのような申請を認めたとする余地はない。しかも八田達夫国家戦略特区ワーキンググループ座長が明瞭に指摘しているように、国家戦略特区制度では、ある一つの特区で認められた改革は他の特区でも適用されるということである。つまり重複した議論をする必要がなくなる。八田氏の発言を引用しよう。

 「話を獣医学部に戻せば、この特区法の原則では、今治市だけに特区を与えることは不可能です。1区域でできれば他でも同様にできて、必ず競争が生まれる。つまりわれわれとしては、まず『特区ができる』ことが大事なのであって、それが『どこで最初にできるのかは』重要ではありません。新しい獣医学部ができるのが、京都でも、新潟でも、愛媛でも、どこでも構わない。WGの議事録から明らかなように、実際に私は、どこが出してきたときでも賛成しています。特区の原則の下では、加計学園が最初の新設獣医学部になったとしても、それは利権になり得ません」(八田達夫「『岩盤規制』を死守する朝日新聞」『Hanada』2017年10月号)。