日本の自殺者数は減っているが、15歳から39歳までの死因の第1位は自殺という。しかし若年層の自殺についての研究はまだ始まったばかり。コラムニストのオバタカズユキ氏が考える。

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 この記事を読み始めた方はほぼ全員がネットにつながる端末をお持ちのはずだから、以下をさっそく試してほしいと思う。

 グーグルの検索窓に、「死にたい」と打ちこむのだ。すると、端末がスマートフォンならトップに、PCでも2番目ぐらいに、それぞれデカデカと、「こころの健康相談統一ダイヤル」という名称とその実際の電話番号、ウェブサイトのURLリンクなどが表示される。
(iStock)
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 他にも、「首つり」と検索したら同じ表示が出てくる。グーグルがこの仕組みを導入したのは、わりと最近のことのようだ。

 当該サイトの説明によれば、「こころの健康相談統一ダイヤル」は、〈より多くの人が相談しやすい体制の整備を図る観点から、平成20年9月10日より、都道府県・政令指定都市が実施している「心の健康電話相談」等の公的な電話相談事業に全国共通の電話番号を設定〉したものだ。それがグーグルとつながったというのは、国の自殺対策に世界最大の検索エンジンが協力し始めたということである。

 表示についてネット上での反応を拾ってみると、ややネガティブなものも混じる。どんな気持ちで「死にたい」と打ちこんだのか、〈google先生に「こころの健康相談統一ダイヤル」紹介されるってのクッソ笑う〉という具合に吐き捨てている人がいる。電話相談がいつもつながらないことを嘆いている人もいる。

 もしそれが自分の役に立つとは思えない人ならば、グーグルの「こころの健康相談」誘導に対して「余計なお世話だ」と思うのは自然なことだ。また、行政が実施しているものだけでなく、いのちの電話などの民間電話相談を含め、その手の「無料サービス」にはなかなかつながらないのも事実だ。自殺をしたい気持ちの相談にのる専門家もボランティアも決定的に足りないことが、その最大の原因としてある。人手不足(≒予算不足)でつながらないのに、グーグルがそんな仕組みを導入したら余計に混乱するだけじゃないか。そうとも言える。

 けれども、せっかくグーグル検索してもらったのだから、実際に「死にたい」と打ちこむ人について少し考えてみようではないか。ツイッターなどのSNSや、ヤフー知恵袋などのQ&Aサイトで悩みを相談、もしくは怒りや悲しみを訴える行為はまだ理解しやすい。そこには不特定多数の中の誰でもいいから自分の気持ちを聞いてほしいという欲求がある。