【独占手記】脅されても訴えられても、私は「大島てる」を続けます

『大島てる』

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大島てる(事故物件サイト「大島てる」運営管理人)


 「大島てる」は、私、大島てるが平成17年に開設した「事故物件」という、不動産に関するネガティブ情報をみんなでマッピングしていく投稿型サイトです。

 神奈川県座間市のアパート一室から9人の切断遺体が見つかった事件では、このアパート内の隣人とみられる人物から「大島てる」にさっそく投稿がありました。

大島てるの投稿
 しかし私は、この投稿者が本当に「隣人」なのか否かについて、公にすることができません。そもそも、私自身も投稿者の素性を把握していません。事故物件の大家や地主からすれば、誰が投稿者なのかを知りたいところでしょう。だからこそ、大島てるとしては、投稿者のプライバシーを保護し、誰でも安心して情報提供できる環境を整備しています。

 今回、本当に隣人が投稿したのであれば、私にとっては大変喜ばしいことです。大島てるは、事故物件をみんなで投稿していくサイトですが、大家や地主が隠蔽したくなるような情報を有している人は、そんなにも多くありません。

 その数少ないうちの誰か一人に、大島てるへの情報提供を期待しているわけですから、大島てるというウェブサイトの存在は皆さんに認知してもらう必要があります。そのために、これまで日々精力的に広報活動を行ってきたわけです。この度の投稿は、大島てるの認知度向上の一里塚と言えるかもしれません。

 そもそも事故物件とは、殺人事件や自殺、それから孤独死など、人の死にまつわる歴史的事実に対し、通常は嫌悪されてしまう土地や建物のことです。典型例として、殺人事件現場となったアパート等が挙げられます。

 そういった事故物件の情報を広く一般に知らしめられることは、どれほど一般消費者にとって有益であろうと、事故物件の大家や地主としては、やはり歓迎できない事態であろうことは想像に難くありません。

 もちろん、法令や判例を研究すれば、借り主や買い主に対して事故物件であることを告知する義務はあるのですが、それでもなお隠蔽(いんぺい)したいという大家や地主は存在します。

 平成22年、横浜市のマンションで発生した死体遺棄事件に関連して、現場マンションの大家から「大島てるによる記事は事実無根で名誉棄損にあたる」として、横浜地方裁判所に民事提訴されました。大島てるに掲載された記事の削除や金銭の支払いに加え、謝罪文の掲載まで求められたのです。もちろん、記事は真実であり、結果は大島てる側の完全勝訴でした。

 こうして事故物件情報の公示は法的に正しいという司法の「お墨付き」を得られたのですが、それならば大島てるを黙らせ、事故物件情報を隠蔽するにはもはやテロリズムしかないと安直に考える輩(やから)が現れても全く不思議ではありません。
あらゆる不動産取引はギャンブル

 そしてついに今年4月、私は脅迫事件に巻き込まれることになるのです。兵庫県尼崎市に住む男がツイッターで「大島てるを殺したい。ここの運営の代表って誰ですか?殺してもいいんですか?もし、イイよって言ってくれる人がいたならば今からその人を殺しに行きます。武器はそこら辺のスーパーに売ってる安もんの包丁を買います。」「あと、大島さんを殺した後僕も死にます」「今思うのは、大島てるの創業者の首を生きたままゆっくりと切り落としたい気分です。断末魔を聞きながら日本酒が飲みたいです。嗚呼、その人を殺したい。殺したい。。。」などと書き込んでいたのです。

 10月23日、男は警視庁に逮捕されました。しかし、脅迫事件の影響でいくつもの事故物件イベントが中止に追い込まれ、警察による厳重警戒の中で強行開催された数少ない公演でも、ファンの皆さんとの接触はかなり制約されました。

 男が大島てるの狂信的ファンで、一方的な好意をこじらせてしまった挙げ句の犯行なのか、それともインターネット上で事故物件情報を公示している大島てるに対しての叛意(はんい)が犯行の動機なのか、あるいはそのどちらでもないのかは現時点ではまだ判明していません。ただ、今後、男の職業等が明らかになれば、犯行の動機を知る手がかりになるはずです。もし、犯人が「アパートの大家」であるといったことが分かれば、大島てるへの叛意が犯行動機だという可能性が高いと言えるでしょう。

複数の遺体が見つかった白石隆浩容疑者が住んでいたアパート=2017年11月1日、神奈川県座間市
 あらゆる不動産取引は「ギャンブル」です。勝つこともあれば負けることもあるのです。大損してしまった大家さんには「ご愁傷様です」としか言いようがありませんが、殺人犯や連帯保証人(多くの場合は親)に対して損害賠償を請求することはできます。自殺の場合も、故意ですから、当然、連帯保証人や相続人に請求できるのです。

 事故物件となってしまったアパートを解体し、コインパーキングにするなどといった対処も考えられます。数時間自動車を駐車するだけなら、たとえ、そこで凄惨(せいさん)な事件が過去に起きていたことを知ったとしても、気にせず利用する人も少なくないからです。

 にもかかわらず、アパートを事故物件化させた張本人の殺人犯ではなく、殺人事件が発生したという事実をただ単に世間に向けて大声で叫んでいるだけの事故物件公示サイト「大島てる」に責任を転嫁するのは、はっきり言ってゆがんだ心理と言わざるを得ません。

 よしんば、保有する物件が事故物件となってしまった大家や地主は、ある意味で「被害者」だとしても、その物件を今後貸したり売ったりする相手をだましてもかまわない理由には全くならないのです。だからこそ、私は今後も「借りる人・買う人・住む人」のために、粛々と事故物件公示活動を続けていきたいと思います。

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