山脇康嗣(弁護士)

 介護分野への外国人労働者の受け入れが拡大している。これまでは、インドネシア、フィリピン、ベトナムとの経済連携協定(EPA)に基づく特例的な枠組みの中で、EPA介護福祉士しか受け入れてこなかった。しかし、今年からは、一定の要件を満たす外国人が、在留資格「介護」や在留資格「技能実習」で介護職に従事できることとなり、間口が一気に広がった。
大和郡山市の介護老人保健施設「ウェルケア悠」でアルバイトとして働いているインドネシア人留学生スリスティヨリニ・ノフイさん=2017年1月、奈良県大和郡山市
介護老人保健施設「ウェルケア悠」でアルバイトとして働いているインドネシア人留学生スリスティヨリニ・ノフイさん=2017年1月、奈良県大和郡山市
 それぞれの制度の内容は、複雑でわかりにくいが、大きな視点でみると、「介護分野の人手不足対応」と「アジア健康構想の推進」という趣旨で統一的に理解できる。

 EPA介護福祉士の枠組みは、一定の要件を満たすインドネシア、フィリピン、ベトナム国籍者が対象となる。在留資格「特定活動」により、最長で5年間、まずは日本の介護施設等で介護福祉士候補者として就労しながら、日本の介護福祉士の国家資格を取得するための研修を受ける。その後、介護福祉士の資格を取得できた場合には、引き続き日本で就労できるというものである。本来的には2国間の経済連携の強化を目的とし、各国300人という年度ごとの人数枠がある。

 さらに、2016年入管法改正(今年9月施行)により、新たな在留資格「介護」が設けられた。これにより、日本に留学して介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士の資格を取得した外国人が、介護の業務に従事することが可能となった。介護分野における外国人留学生の活躍支援を直接の目的としている。この法改正を受け、介護福祉士志望の外国人留学生が、5年で30倍と急増している。 

 さらに、今年11月には、在留資格「技能実習」に介護職種が追加された。これにより、最長で5年間、技能実習生として、介護施設等においてOJTで介護に必要な技能を学ぶ。同一の作業の反復のみによって在留資格が習得できるものではないが、単純就労的な側面は否定できない。

 現在、介護保険法によって、入居者3人に対して、1人の介護職員もしくは看護職員を配備しなければならないとされているが、実習開始後6カ月経過した時点から、実習生もこの職員配置基準にカウントできる。また、離職率が高い介護業界にあって、実習生は、制度上、少なくとも3年間は自己都合による転職がない。本来的には、技能実習制度は、人材育成を通じて開発途上地域等へ技能を移転し、国際協力を推進することを目的としているものの、これらの理由から介護事業者が実習生の受け入れに強い関心を寄せている。