在留資格「特定活動」(EPA介護福祉士)、在留資格「介護」および在留資格「技能実習」は、細かくみれば、それぞれ趣旨や目的が異なるようにも見えるが、大きな視点でみれば、「介護分野の人手不足対応」と、「アジア健康構想の推進」が目的であるということで共通している。以下、この視点で説明する。
(iStock)
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 まず、日本の高齢化社会の実情から考えると、2015年には、1947年~1949年生まれの団塊世代の全員が、前期高齢者(65~74歳)となった。2025年には、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない超高齢社会に突入するといわれている。いわゆる2025年問題であり、医療・社会保障財政が破綻の危機を迎えるほか、厚生労働省の推計によれば、38万人の介護職員が不足し、このままだと多数の介護難民が発生すると見込まれている。現状でも、介護分野での人手不足は深刻であり、離職率も依然として高い(昨年度16・7%)。

 前述した3つの枠組みでの外国人登用は、この人手不足への対応という側面がある。もちろん、日本人介護従事者の待遇改善による人材確保が優先であるが、それだけではとても間に合わず、外国人を受け入れざるを得ない状況なのだ。

 また、アジア健康構想とは、日本が先行する介護の技術やシステム(地域包括ケアシステム、自立支援介護サービス)をアジアの諸地域に輸出するという政府が強く推進している官民連携のプロジェクトである。アジアにおいて、急速に進む高齢化に対応した健康長寿社会の実現を目指した取り組みであり、アジア地域全体の持続可能な経済成長を支援する目的がある。さらに、日本の介護事業者のアジア地域進出を後押しする目的がある。

 アジア地域では急速に高齢化が進み、2035年には、アジア地域の高齢者率は約20%に達し、高齢者向け市場は約500兆円になると見込まれている。高齢者向け市場とは、医療・医薬産業、介護産業および生活産業を指す。

 日本では、今後も高齢化率は上昇するものの、2025年以降は65歳以上の高齢者数の増加は頭打ちとなり、その後、高齢者数は横ばいとなり、2042年以降は減少に転じると推計されている。そのため、日本国内の高齢者向け市場も、ある時点以降は縮小傾向となり、アジア地域への事業進出による新たな市場開拓を検討せざるを得なくなる。また、日本の介護保険財政が逼迫(ひっぱく)しているため、事業者は、介護保険制度による介護報酬の増加を見込めない状況にある。よって、事業者は介護保険外での収入の確保(収益源の多角化)を図る必要があり、そのため、官民一体となって、日本の優れた介護システムをアジアに輸出し、アジア地域に介護産業等を興すことを狙いとしている。