具体的には、実習生に一定の日本語能力が求められているほか、実習生の受け入れを認められる機関もかなり限定されている。そのため、法律の規定どおりに制度が適用されるのであれば、これまでより問題は減少すると考えられる。
介護現場で働く外国人の国家資格取得に向けた講座が開講し、講師の説明を受ける受講生=2017年4月、仙台市宮城野区
介護現場で働く外国人の国家資格取得に向けた講座が開講し、講師の説明を受ける受講生=2017年4月、仙台市宮城野区
 日本では、単純就労的(現業業務的)な分野での外国人労働者については、期間限定のローテーション型の受け入れしかありえないであろう。単純就労に従事する外国人を、広く一般に、定住を前提として受け入れるための制度的基盤は整っていない。それになにより、全面的な移民を解禁することに対して国民の合意も形成されていない。したがって、少なくとも現時点においては、単純就労に従事する外国人の定住を前提とした全面的な受け入れは無理である。技能実習制度を批判するのは簡単だが、他に方法がないのが現状だ。

 技能実習法が規定する技能移転による国際協力を目的とすることと、適正な技能実習実施の結果として国内産業の人手不足の解消にもつながることは、必ずしも矛盾しない。日本の外国人政策として、単純就労従事者は原則として受け入れず、生産年齢人口の減少については、基本的には生産性の向上や女性・高齢者の活用での解決を目指す。しかし、それを前提としつつも、著しい少子高齢化の中で、国内産業の空洞化を防ぎ、国の経済力を全体として継続的に維持するためには、適正化を図った上での技能実習制度が現実として必要不可欠だ。ICT技術やロボットの活用を図るとしても、直ちに人手不足を解消するほどに生産性が向上するわけではないし、そもそも、それが適さない分野もある。技能実習制度を廃止することは、単純就労者を全面的に受け入れることにつながるが、そのような国民的コンセンサスはできていないし、今後も無理であろう。

 これまで述べたとおり、介護分野における喫緊の人手不足に対応する必要がある。また、一定時点を越えると日本国内の介護市場が縮小してしまうことも懸念される。さらに、事業者が介護保険報酬だけに頼らず、収益源を多角化するために、官民連携してアジア健康構想を推進する必要がある。それを実現するためには、介護分野の現地人材育成と環流の促進が不可欠である。外国人にとっても、自国で介護産業に就くことが可能になり、日本での学習、技能実習および就労が、キャリア形成の柱となる。さらに、アジア地域において関連医療や生活産業が興ることで、高齢化対応の経済・産業構造になり、国際貢献にも資する。

 したがって、日本は、入管法や技能実習法を厳格に適用しつつ、問題が起きないか細心の注意を払いながら、介護分野への外国人労働者の受け入れを、慎重かつ確実に進めていくほかないといえる。