パテル英国際開発相が辞任 政府に無断でイスラエル首相と会談

『BBC』

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2017年11月09日 13:18 公開

英国のプリティ・パテル国際開発相は8日、政府に無断でイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らと会談していたことの責任を取って辞任した。

パテル氏が今年8月に家族との休暇旅行中に、ネタニヤフ首相などイスラエル政府当局者らと会っていたことが明らかになり、問題となっていた。

今週6日にパテル氏は謝罪したものの、事実関係がさらに明らかになるなか、8日には公式訪問していたアフリカからの帰国を命じられていた。

パテル氏は、「求められていた高い基準を満たさない行動だった」と述べた。

国際開発相の辞任に至った異例な経緯の概要は、次の通り――。

プリティ・パテル氏とは

現在45歳のパテル氏は与党・保守党の政治家として、長らく期待の星とされてきた。

政府のさまざまな役職を経て、2016年6月には国際開発相に就任し、英国の海外開発助や発展途上国への支援を担当してきた。

パテル氏は保守党内で右派に属すると言える。欧州連合(EU)に対して批判的な立場を長年取り、同性婚をめぐる法案に反対票を投じたほか、喫煙の禁止への反対運動を展開。親イスラエルの政治家として長らく知られてきた。

パテル氏の行動

BBCは先週、パテル氏が今年8月に家族との休暇でイスラエルを訪問した際、同国の財界および政界の有力者らと会談していたことを公表していなかったと報じた。

パテル氏は主要政党の党首と会ったほか、複数の団体を訪れており、政府関連の内容を話し合ったとされる。

閣僚たちが海外で公式な活動をする場合には、自国政府に報告する必要がある。それだけに、パテル氏の行動は異例だ。

BBCのジェームズ・ランデール記者は6日にツイッターで、パテル氏が休暇中に外務英連邦省(FCO)に知らせずにネタニヤフ首相と会っていたとの情報をBBCがつかんだと投稿した>

帰国したパテル氏は、英国の対外援助予算の一部をイスラエル軍に配分するよう提案。さらに、国際開発省の部下に対し、占領地のゴラン高原でイスラエル軍が行っている人道支援事業を英国が援助できるか検討するよう指示した。

政府関係者は、パテル氏の要請は「不適切だった」と指摘する。国際社会はイスラエルによるゴラン高原の占領を認めておらず、英政府も同様の立場だ。イスラエルは1967年の第3次中東戦争(6日間戦争)以来、シリア領のゴラン高原の占領を続けている。

政府の対応

辞任前にパテル氏は会談を外務省に報告しなかったことや、ボリス・ジョンソン外相がパテル氏の計画を事前に承知していたかのように示唆したことを謝罪した。

パテル氏は、「振り返ってみれば、会談の準備や報告が通常の手続きにのっとっていなかったと(中略)認めざるを得ない。申し訳なく思うし、謝罪したい」と述べた。

政府は当初、パテル氏の「釈明」を歓迎し、テリーザ・メイ首相がパテル氏に閣僚としての責任を「あらためて念押しした」と明らかにした。ある外務担当閣外相は、パテル氏の会談は政府の政策に変更をもたらさなかったとして、パテル氏の行動を擁護した。

野党・労働党はパテル氏への調査が行われるか、「けじめをつけて辞任すべき」だと主張した。影の内閣の国際開発相を務めるケイト・オサモール氏は、明白な閣僚の規範違反だと批判した。

ソーシャルメディアでもパテル氏に対する批判が相次いだ。なぜ家族旅行で、外国指導者と会ったりするのかと指摘する声もあった。

その後の展開

8日の動きはかなり普通の展開で、パテル氏や政府、あるいは両方の立場はどんどん難しくなっていった。

イスラエルでの会談後、パテル氏が9月に2回、政府関係者の立ち会いなく会談を行っていたことが明らかになった。パテル氏は英議会議事堂内でギラド・エルダン警察相と会ったほか、イスラエル外務省の幹部、ユバル・ロテム氏とニューヨークで面会していた。

<エルダン警察相は9月にツイッターで「私の友人であるパテル大臣と素晴らしい会談を持った。彼女は強い勇気と指導力がある。我々は具体的な行動を取る」と投稿していた>

英政府がニューヨークでの面会の事実を把握しており、パテル氏に公表を避けるよう求めたという記事を英紙ジューイッシュ・クロニクルが出したことも、さらに事態を複雑にした。

BBCのローラ・クンスバーグ政治担当編集委員は、「日程外の会談がさらに明らかになった」ことで、もしメイ首相がパテル氏を解任しなかった場合には、首相の「弱さを示す痛み所であり続ける」と語った。

事実関係が明らかになると、パテル氏はウガンダへの公式訪問を途中で切り上げ英国に帰国。一時は多くの人が、帰国の途にあったパテル氏の飛行機の位置をインターネットの飛行追跡サイトなどで注視する騒ぎになった。

<飛行機の位置をリアルタイム表示するサイト「フライトレーダー24」はツイッターで、「2万2000人以上のユーザーが今、ロンドンに向かうKQ100便のフライトの位置を確認している。メディア報道によるとパテル氏はこの飛行機に搭乗している」と投稿した>

パテル氏の帰国を待ち受ける人たちは、機内wi-fiのない状態のパテル氏が到着までロンドン情勢を知らずにいると承知していた。そのためパテル氏の去就について憶測が1日中、飛び交い続けたものの、辞任が明らかになった時点でようやくそれも収束した。

パテル氏が辞任する前も、メイ内閣は相次ぐ問題に直面していた。

ボリス・ジョンソン外相がイランで5年の拘束刑を受けているイラン系英国人女性について、「ジャーナリズムを教えていた」と間違って発言したことから、刑期が2倍になる可能性が生じたとして、同相に対して辞任を要求する声が出ている。

このほか今月1日には、マイケル・ファロン国防相が自身のセクハラ問題で辞任している。

クンスバーグ編集委員は、メイ首相にとって大混乱の一週間だったと指摘。パテル氏が今週、謝罪のため首相官邸を訪れた際にも9月の会談について報告しなかったと、メイ首相が激怒していたと述べた。

辞任したパテル氏は今、もっと率直な対応を取っていたらと反省しているかもしれない。

(英語記事 Priti Patel: A guide for international readers to UK political scandal