篠田 君は自分のことがどう報道されているかある程度は知っているのだと思うけれど、テレビは見ているの?
 植松 テレビは見ていません。

 篠田 じゃあ送検の時の「不敵な笑い」と言われた君の表情については動画では見てないの?
 植松 それは新聞で見ました。まずかったなあと反省しました。

 篠田 「不敵な笑い」と言われても自分ではそんなつもりはなかったと。
 植松  はい。

 篠田 取材陣が殺到する異常な光景を見て思わず笑ってしまい、「不敵な笑い」と言われるのは、こういうケースでよくあることだよね。テレビを見ている人には取材陣が大混乱している様子が映されないから、事情がわからない。君はマスコミとの接見は拒否しているけれど、友人や家族とのやり取りはできているわけでしょう。
 植松 はい。

 篠田 昨年、措置入院から退院した後、両親と一緒に暮らすと言っていながら、実際はまたそれまでと同じ家に戻って一人暮らしをはじめ、それが君へのフォローができていなかったひとつの理由と、厚労省の報告でも分析されていたけれど、あの時はどうしてそうしたの?
 植松 別に深い理由があってそうしたわけではありません。

 篠田 君は退院の後、友人などに、障害者を安楽死させるという話を語って驚かれていた。君のその考えが拒絶されたことについてはどう考えていたの? 同意する人はいなかったでしょう。
 植松 いや、そうでもありません。確かに拒絶する人もいましたが、理解はしたうえで、でもそれは法律上許されないからという人もいました。自分としてはそう指摘されて、それなら法律を変えなくてはいけないと思いました。

 篠田 でも君の考えに同意する人はいないと思うけどなあ。
 植松 自分の考えをきちんと説明すればわかってくれる人もいると思っています。

 篠田 いたとしてもごく少数だろう。
 植松 いやきちんと説明すれば半分くらいの人はわかってくれると思っています。

 篠田 半分はいないでしょ。
 植松 逮捕されてからもいろいろな人にこの話をしていますが、皆聞いてくれています。

 植松被告が、自分の主張をきちんと説明すればわかってくれるだろう人を「半分くらい」と言ったことに対しては私も驚き、「いやそんなにいないだろう」と少し応酬になった。半分はいくら何でも多いだろうが、それは私が「君の考えは周囲にはほとんど同意されなかったはずだ」と強調したので、もしかすると彼も反発して強気の発言をしたのかもしれない。
津久井やまゆり園での事件から1年が経過し、献花台に献花する園関係者=2017年7月、神奈川県相模原市(桐山弘太撮影)
津久井やまゆり園での事件から1年が経過し、献花台に献花する園関係者=2017年7月、神奈川県相模原市(桐山弘太撮影)
 私はこれまで世間で凶悪犯罪と言われた事件の当事者に何人も接してきたが、植松被告の特異な点のひとつは、あれだけの事件を起こして社会から指弾されながら、いまだに自分の考えは正しいと思い込み、それだけでなくそれを世に問いたいと考えていることだ。彼が接見禁止が解けて以降、マスコミ取材に応じてきたのは、それが理由だったのだろう。この強固な思い込みをいったいどう考えたらよいのか。そうした思い込みを実行に移そうとまでしたのがこの事件だが、そうした彼のパーソナリティをどう考えるべきかも精神分析の対象だろう。