事件発生から半年を前後にして、新聞各紙に「生きた証」に関する様々な記事が出ました。26日にはNHK「首都圏ネットワーク」と「ニュース7」でも活動について報じられました。

 植松容疑者の鑑定留置終了後の起訴にあたって特集を組みたい、ということで、2月に入って、TBSの密着取材を受けました。その間にも県の地元説明会や、移転に伴う専門部会があり、私も傍聴しています。

 19人が亡くなられて、職員含む27人がケガをされましたが、NHKやTBSの取材・ロケで訪ねて行けたのは10人ぐらいでした。やはり当初は、(今もそうかもしれませんが)元職員の中には自分のことのようにショックを受けている方もおられ、取材に応じていただくのが難しかったこともあります。

追悼式には遺族ら関係者が多数出席した=2017年7月24日、相模原市南区
追悼式には遺族ら関係者が多数出席した=2017年7月24日、相模原市南区
 『創』2016年10月号では19人中6人の方のお世話をしていたと書きましたが、関係者を訪ね歩く中でもう一人お世話していた方がいることに気が付きました。その方は、私がいた当時は短期入所だったのですが、後に本入所になったのです。元職員を訪ねる中で、特徴を聞いて「あ、この人、○○さんだ」と分かったのです。

 太田さんと私は誰をどう訪ねるか、という計画を立てて、最初にボランティアさんを訪ねました。でもボランティアさんは入所者を知ってはいたものの、ごく短い期間なので、名前と顔がなかなか一致せず、思い出というところまでは出てこないようです。

 やまゆり園は同性介助が原則なので、男性の入所者についてはほぼ分かるのですが、女性入所者については情報がありません。太田さんにセッティングしてもらって、女性元職員3人の座談会を考えていました。でも結局、直前になって断られ、実現しませんでした。それで私の知っている女性元職員に当日になって直接電話をかけました。 

 やまゆり園の職員や入所者がよく通っていたのが近くの食堂「キッチンたかはし」で、私もよく知っていたので突然訪問して、いろんな情報を得ることができました。

 犠牲者19人のうち分かったのが14人だった。私たちが退職した後に入所された方もいらっしゃるので、その方は私たちにも分かりません。

 その他の被害者についてはどうなのか、誰がどうケガをしたのかなどもまだ分かりません。被害者として公表されているのは、尾野一矢さんと諸橋孝治さんの2人だけです。女性だと、野口貴子さんが実名公表されました。また、森真吾さんも事件発生当時は名前や顔を出されていました。

 職員の誰がケガをした、といったことも公式には出ていません。事件の時に結束バンドで縛られた職員というのも名前は出ていませんし、発言もしていません。2月23日には現役3人の職員が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の労災認定を受けたニュースがありましたが、被害者の名前というのは職員も含めて出ていないのです。警察発表で新聞に名前が出たのは尾野一矢さん、諸橋孝治さんの2人です。私は職員の住所録をたまたま持っていました。その住所録を手掛かりに何人か当たっています。

 仲のよい県の職員もいるのですが、県から通達が出ていて、「取材には応じられない」というのです。現役職員にはまだ当たることができていません。ただ4月になると人事異動があるので、その中でいろいろな情報が出てくる可能性はあります。

 14人分かった犠牲者のうち直接当たることのできたのは3人でした。ひとりは、存命中ずっと太田さんがご家族と関わりのあったラジオが好きな男性。もうひとりはお兄さんが大好きな女性の方です。ある男性からは最近「どうぞこのままそっとしておいて下さいませ」とのお返事をいただきました。