介護職の平均給与は、産業平均と比較し、女性が月額▲3万円、男性が月額▲10万円と、悲惨な状況に置かれている。その状況で、財務省は「利益率が高い」などと言いがかりをつけ、介護報酬を削ろうとしているのだ。

 2016年度の介護関連企業の利益率にあたる収支差率は、全介護サービスで3・3パーセント。介護報酬減額(15年)前の2014年度の7・8パーセントから、大きく落ち込んだ。

 この状況で、さらなる介護報酬削減に踏み切ると、どうなるか。高齢化で需要が増え続ける中、介護報酬が削減され、今度こそ介護は「赤字が常態化」する業界になる。そうなると、事業を継続する意味がなくなるため、日本は介護の供給能力が激減し、高齢者が介護サービスを受けられなくなる形の「介護亡国」に至る。(当然、日本のデフレ化も進む)

 あるいは、介護事業者がさらに給料を引き下げ、人材の流出(というか「逃亡」)が加速することになる。

図 日本の介護福祉士登録者(左軸、人)と介護福祉士の従事率(右軸) 
出典:厚生労働省
図 日本の介護福祉士登録者(左軸、人)と介護福祉士の従事率(右軸) 出典:厚生労働省

 現在、介護福祉士として登録している「日本人」は140万人を超す。それにも関わらず、従事率は55%前後の横ばいで推移したままだ。

 さらに不吉なことに、2017年から介護福祉士の国家試験への受験申込者数が急減している。社会福祉振興・試験センターによると16年度は16万919人だった受験者が、17年度は7万9113人と、半減してしまったとのことである。政府の介護報酬削減(2015年)で介護が儲からない産業と化し、就職すると「貧困化する」という現実を、介護産業への就職志望者たちが知ってしまったのではないか。

 本来、介護産業における人手不足は、介護福祉士の資格を持っていながら、業界で働いていない「日本人」を呼び戻すことで埋めるべきだ。とはいえ、そのためには介護報酬を引き上げなければならない。すると、財務省の緊縮財政路線とぶつかる。「財務省主権国家」では、介護報酬の引き上げはできない。むしろ、介護報酬は引き下げられ続ける。すなわち、介護サービスの給料はさらに低下し、日本人が逃げる。

「ならば、外国人を雇えばいいではないか」

 ということで、17年11月に外国人技能実習生制度の、介護分野への適用につながるのだ。介護分野が技能実習生制度に解放されたことを受け、デイサービス大手のツクイが、ベトナムから年内に約150人を、学研ココファンも、2020年までにミャンマーや中国などから120人程度を受け入れる予定とのことである。