マクロン仏大統領がサウジアラビアを急きょ訪問 レバノン危機を懸念

『BBC』

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2017年11月10日 14:13 公開

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は9日、サウジアラビアを急きょ訪問した。中東レバノンのサード・ハリリ首相がサウジアラビア滞在中に突然辞任を表明するなか、マクロン大統領はレバノンの安定が重要との認識をサウジアラビアに伝える考えだ。

ハリリ首相は4日にサウジアラビアの首都リヤドで辞任を発表し、命が狙われていると語った。同氏の辞任はサウジアラビアが促したとの憶測が出ている。

マクロン大統領は、サウジアラビアの隣国で内戦が続くイエメンの危機についてもサウジ指導者らと協議すると述べた。今月6日以降、イエメンに支援物資を運ぶ経路がサウジアラビアが主導する有志連合によって封鎖されている。

封鎖は、4日にイエメンからリヤドに向けて弾道ミサイルが発射されたことを受けて始まった。ミサイルはリヤド近くで撃ち落とされた。

サウジアラビアは、攻撃はイランが後押しするレバノンの武装勢力ヒズボラによるものだと主張している。

マーク・ローコック国連事務次長(人道問題担当)は8日、イエメンは過去何十年かで最悪の飢餓に直面しており、封鎖が続き支援物資が届かなければ、「何百万人もの犠牲者」が出る可能性があると警告した。

一方、サウジアラビアは9日、レバノンに滞在するサウジ市民に対し、国外に即時退去するよう命令した。

多くのレバノン人は、地域の主要国でイスラム教スンニ派が多数を占めるサウジアラビアとシーア派が多数派のライバル国イランとの間の確執に巻き込まれるのを恐れている。

サウジアラビア訪問直前、アラブ首長国連邦に滞在していたマクロン大統領は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と直接会って話し、「レバノンの安定と統一維持の重要性を強調する」と述べた。

マクロン氏は、「私の希望はレバノンの政治家たちがレバノンで自由に生活できることだ。(中略)それは、すべての指導者を脅迫する可能性がある勢力に対して強い姿勢を示すことを意味する」と語った。

マクロン氏はさらに、ハリリ首相と非公式な接触を持ったと明らかにした。

今月4日、サウジアラビアに滞在していたハリリ首相はテレビ放映された演説で、暗殺計画があるため辞任すると述べた。さらに同氏は、レバノンおよびイランで大きな政治・軍事的勢力が持つヒズボラを批判した。

ハリリ氏の父親で同じくレバノンの首相を務めたラフィク・ハリリ氏は2005年に爆弾攻撃によって死亡している。犯行はヒズボラによるものだとみる向きが多い。

ハリリ氏はその後、発言していないが、関係者によるとリヤドで各国の外交官らと面会しているという。

BBCのセバスチャン・アッシャー中東問題担当編集長は、サウジアラビアが同国市民にレバノンから退去を命じたことで、ハリリ氏の辞任表明をめぐって懸念が広がるレバノンでの緊張はさらに高まると指摘した。

サウジアラビアの発表から数時間後には、隣国で同盟国のクウェートも同様の通達を出した。

「サウジへの攻撃をやめよ」

サウジアラビアは6日、イエメンからのミサイル攻撃はヒズボラが行ったと非難した。米CNNテレビが報じた。

翌日、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はイランがイエメンのシーア派の武装組織で反政府勢力のフーシ派にミサイルを提供し「直接的な軍事攻撃」をしたと非難した。

イランはサウジアラビアの主張を「虚偽で危険」だとし、否定している。

一方、ヒズボラはサウジアラビアがハリリ首相の辞任をお膳立てしたと主張した。

(英語記事 France's President Macron begins Saudi visit, amid Lebanon crisis