2017年11月10日 15:21 公開

ドナルド・トランプ米大統領のツイッター・アカウントが先週、ツイッター社の従業員によって一時的に停止させられたのを機に、多くの人が、今週も同じようにトランプ氏のツイッターが静まり返るのかどうか注目していた。

トランプ氏は今週、中国を訪問したのだし。ツイッターなど多くの外国ウェブサイトを遮断する、「グレート・ファイアウォール 」で有名な国に。

実際には、トランプ氏は中国でもツイートし続けた。ツイッターで中国側のもてなしに感謝し、北朝鮮に警告を発し、さらには、自身のツイッターのヘッダー画像を、何十人もの京劇俳優に囲まれた自分と中国の習近平国家、2人のファーストレディの写真に変更した。

何がどうなっているのか?これには技術的な面と政治的な面、2つの側面がある。

トランプ氏はツイッターで、「あしたの丸一日にわたる習主席と我々の代表団の会談を楽しみにしている。中国のみなさん、美しい歓迎をありがとう!ファーストレディのメラニアと私は一生忘れないだろう!」とコメントした

ツイッターは中国で遮断されている――ただし、特権があれば、あるいはITに精通していれば使える

中国本土では、何千ものウェブサイトやソーシャルメディアが遮断されている。ツイッターやフェイスブック、インスタグラム、ワッツアップも利用が禁止されているし、当局がデリケートだと考えるウェブサイトもしかりだ。(BBCニュースのウェブサイトは、米紙ニューヨーク・タイムズや英誌エコノミストと同様、過去にブロックされた)。

多くの人がVPN(仮想プライベートネットワーク)を使い、中国の検閲を回避しているが、政府は今やそうしたVPN提供企業も取り締まっている。

しかし中国当局はこの規則に対して、例外を作らないわけではない。

<トランプ氏は、「習主席と彭麗媛夫人、北京の紫禁城での忘れがたい午後と夜をありがとう!ファーストレディのメラニアにも代わってお礼を言う。またあしたの朝お会いするのを楽しみにしている!」と投稿した>

中国当局は2013年、上海自由貿易試験区 において一時的に検閲関連法の緩和を検討した。さらに、中国国営の新華社通信もツイッターを使い、自社の記事を拡散している。これについては中国のソーシャルメディア利用者の多くが、政府の二重基準(ダブルスタンダード)非難している。

トランプ氏の訪中に先立ち、中国の鄭沢光・外務次官は記者団に、大統領は好きなだけツイートできると保証した。「外国首脳を迎える際には、あらゆる点を考慮する。大統領が外の世界とやりとりする能力について、皆さんが不安に思う必要はない」と次官は述べた。

人権団体はこの対応を批判している。

国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ 」のソフィー・リチャードソン中国部長は米ブルームバーグ通信に対し、「トランプ大統領が中国でツイートできているとしたら、それは習主席が一貫してあの国の人たちに与えていない特権を、トランプ氏が享受できているからだ」と話した。

ではトランプ氏はどうやってツイッターにアクセスしのか?

トランプ氏の同行記者団は、外国のSIMカードで3Gないしは4Gのローミングネットワークを使えば、携帯電話からツイッターを使えると分かった。

実際には、中国を訪問する外国の政府関係者は厳格なセキュリティー基準を遵守するよう求められ、中国で自分の携帯電話やラップトップを使わないよう推奨されることもあった。

そのためトランプ氏は単に、いつもの自分の携帯電話からツイートしているだけ、というわけではなさそうだ。

米国はもちろん、中国訪問中のトランプ氏がどうやって安全にインターネットにアクセスしているのか、詳細は明らかにしていない。

しかし北京へ向かう途中、ホワイトハウス高官は記者団に対してトランプ氏が中国からもツイートし続けると保証し、「それを可能にする機材を、この機内に積んでいるはずだ」と話した。

トランプ氏が中国から発信した最初の3つのツイートは、携帯電話ではなくブラウザー発だった。しかし、自分の当選1周年を祝う4番目のツイートは、iPhone発だったことが、ツイッターのアプリ「ツイートデック」のデータから分かる。

ツイッターは政治的なツール

ツイートすることはトランプ氏にとって、政治的な行動なのだと忘れてはならない。ツイッターを通じて政策を発表し、政敵を厳しく非難し、中国を含む他国を批判してきた。

トランプ氏が中国でツイッターを使わないことにしていたら、バーチャル世界のこととはいえ、中国の検閲に沈黙させられたのだとみなされた可能性もある。

ホワイトハウス関係者が記者団に対して、「大統領は(中国滞在中も)ツイートしたいことはなんでもツイートするだろう。それが米国国民と直接コミュニケーションを取る、(トランプ氏ならではの)やり方だから」と強調したのも、それが理由かもしれない。

しかし、トランプ氏の北京でのツイートとそれ以前のツイートでは、調子に差があると気づいた人たちもいる。

トランプ氏の8日のツイートはもっぱら、中国政府による「美しい歓迎」に感謝し、「メラニアと私は一生忘れない!」と付け足していた。しかし以前はツイッターで人民元切り下げを批判し、中国は北朝鮮の核開発に対して十分に抑止行動を取っていないと主張していた。

<トランプ氏は7月、「北朝鮮について、何も我々のためにしてくれない。しゃべるだけだこれを続けさせるわけにはいかない。中国はこの問題をあっさり解決できる!」とツイートした>

一方で中国国営メディアは、トランプ氏のアカウントのヘッダー画像が変更されたことを含め、トランプ氏の中国に関する最新ツイートを熱心に取り上げた。

「トランプ氏は紫禁城訪問に満足していたようだ。さらに言えばツイッターのヘッダー写真を変更した!」。香港のフェニックステレビは、親指を上げた絵文字と一緒に「微博(ウェイボー)」にこう投稿した。

もちろん、中国では公式にツイッターへアクセスができないことへの言及はなかった。

(英語記事 Trump tweets in China - how, and why does it matter?