ファイターズ・ファンにしても、今季は欠場が続き、日本での最後のシーズンは不完全燃焼に終わっている。その意味で、楽天ファンだけでなく、日本シリーズで対決したジャイアンツ・ファンさえも感動させ、涙させ、日本中に熱い思いを注ぎ込んで米大リーグ機構(MLB)に渡った田中将大投手と色合いがずいぶん違う。

 プロでの実績は積んだ、実力も証明した。それでMLBに行くとなれば、日本のプロ野球は本当にMLBの傘下にあるマイナー・リーグのような存在になる。アメリカが上、日本が下。いまでも、それは当然でしょう、という雰囲気もある。

 だが、日本のプロ野球はせめて、MLBと肩を並べ、これをしのぐ方向性を提示しなければならないと思う。何もせず、MLBのマイナー化を甘んじて受け入れる姿勢で将来が明るいとは思えない。

 まして、7球団競合の末に清宮幸太郎選手(早実)の交渉権を獲得したのが、北海道日本ハム。もし清宮が順調に成長すれば、やはり喜んで送り出されるだろう。それを阻止しろと言いたいわけではないが、まるで高校野球を3年で卒業するように、日本のプロ野球は4年か5年で卒業される、それが当たり前になったのでは日本野球機構(NPB)の威厳や権威はどうなるか。

試合終了後、スタンドのファンに挨拶を済ませて引き揚げる日本ハム・大谷翔平(左)。シーズン最終戦は4打数無安打に終わった
=2017年10月9日、Koboパーク宮城
試合終了後に引き揚げる日本ハム・大谷翔平選手(左)。シーズン最終戦は4打数無安打に終わった=2017年10月9日、Koboパーク宮城
 その意味で、侍ジャパンは重要だ。日本のプロ野球を本拠とし、世界を相手に戦う。世界にその名を轟(とどろ)かせ、実力も存在も示せる時代だ。それなのに、侍ジャパンの注目度も広報努力もまだ低い。16日から始まる「アジアプロ野球チャンピオンシップ」も、始まればそれなりに注目されるだろうが、稲葉篤紀監督の地味さ、Uー24で若手主体のメンバー構成という事情もあって、盛り上がっているとは言えない。

 強化合宿初日の記者会見で、稲葉監督は、「勝利至上主義、勝ちに行く」といった表現で意気込みを示した。多くのメディアもファンも、この言葉をすんなり受け止めていたが、私はあまりの当たり前さにぼうぜんとした。野球少年の減少が課題としてあり、野球の底辺を支える人気衰退が深刻化する中で、侍ジャパンの代表監督が発するメッセージとしてはあまりに物足りない。そんな憂いや不足を感じない鈍感さも、日本野球の危機を如実に物語っていると言えないだろうか。

 実際はもっと、侍ジャパンを頂点とする、日本野球のレベルアップ、魅力向上を野球界全体で企画し、推進しなければいけないのに、その危機感も意欲も感じられない。本当は、大谷翔平のメジャー挑戦を手放しで喜んでいる場合ではない。