統一契約書の内容には人権上の問題さえあり、突っ込みどころは満載だといえます。しかし、公取委はこれに踏み込むなら、新たな契約のあり方を示したひな形の作成まで、責任を持って取り組むべきではないでしょうか。それは相当な難題ですが、避けては通れない課題ですから、しっかり完遂してもらいたいと思います。
(iStock)
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 もちろん芸能プロダクション側の言い分もわかります。タレントが売れない頃から多くのお金と時間をかけて、滑舌やボイストレーニング、ダンスなどのレッスンを行い、プロとしての心得やマナーを教育し、多大な広告宣伝費を投資するわけです。それがいざ売れっ子になり、収入を得られるようになった途端にポイと辞められたのでは、資金を回収できずにたまったものではない、という主張です。

 これは、誰がタレントを育成するのか、という議論が必要なことを意味しています。またどこまでがタレント個人の才能で、どこまでが周囲の力かという深遠なテーマにもつながってきます。

 これらは個別の事例によって極めて差が大きく、ほとんど指導しなくてもタレントが自らぐんぐん成長し、大スターになる人もいれば、いくら育成にお金と時間をかけても、まるで売れずに終わる芸能人もいるわけです。

 そのリスクの一部を事務所が引き受けているのは事実ですが、だからといって売れたタレントを生涯支配し続けてもよい、という根拠にはなりません。タレントは単なる商品ではない、人間である、という認識は常に重要です。

 もう一点、契約の問題とは別に、大手芸能プロダクション数社が市場を独占しているのではないか、という疑惑も表沙汰になるかもしれません。いわゆる闇カルテルです。私はむしろこの問題こそ、日本の芸能界のダークな部分であり、必要があれば行政がメスを入れるべきテーマだと考えます。

 ネット上では既に大いに語られていますが、テレビのワイドショーでは決して話題になることがない「タレントの誰々が事務所からの圧力によって仕事を干されている」といった情報。テレビ局がなぜそういう情報を発信しないのかというと、テレビ局自体も大手芸能プロダクションの意向に気をつかい「仕事を干す」片棒を担いでいる共犯者であるからです。