日本滞在中の3日間(11月5日~7日)、NHKから民放全局、新聞紙面までジャックしたトランプ報道狂騒曲によって、大メディアの実態が浮き彫りになった。

「首脳会談の中身なんてどうでもいいんだ。トランプが食べたハンバーガーの店をすぐ突き止めろ!」

 民放各局ではディレクターからそんな指示が飛び、テレビクルーは芸能人のように2人の首脳の姿を追いかけ、食べた料理と値段を報じ続けた。視聴率は正直だった。民放キー局の情報番組プロデューサーが語る。
夕食を共にする鉄板焼き店で、撮影に応じる(右から)安倍晋三首相、トランプ米大統領、メラニア米大統領夫人 =2017年11月5日、東京都中央区(代表撮影)
夕食を共にする鉄板焼き店で、撮影に応じる(右から)安倍晋三首相、トランプ米大統領、メラニア米大統領夫人 =2017年11月5日、東京都中央区(代表撮影)
「どの局もあのトランプならネタ満載だろうと特需を期待して番組を組んだが、ワイドショーは軒並み視聴率ダウン。夜のニュースも『報道ステーション』(テレビ朝日系)は1桁台、『NEWS23』(TBS系)は3%台でいつもより悪かった。“こんなはずじゃなかった”と、各局の制作部門はいま反省会をやってますよ」

“グルメ報道”合戦は新聞にも伝染した。読売新聞が、〈ニクい「おもてなし」 トランプ氏が親指立てて喜ぶ〉(7日付、夕刊)とハンバーガーに米国産アンガス牛が使われたことを報じると、朝日新聞は〈佐賀牛「トランプ特需」来る? 問い合わせ続々〉(8日付、デジタル)の見出しで、迎賓館での歓迎晩餐会で振る舞われた佐賀牛のステーキを記事化した。

 いくら首脳会談の中身が乏しかったとはいえ、これでは読者や視聴者が“食傷”してしまう。

 情報媒体としての新聞・テレビの著しい凋落は数字にはっきり表われている。日本新聞協会のデータによると、全国紙と地方紙を合わせた一般紙の総発行部数は2007年の4696万部から2016年は3982万部へとこの10年間で714万部もの急落。第2次安倍政権発足後の2013年からは毎年100万部前後のペースで部数が落ちている。

 とりわけ凋落著しいのが朝日新聞だ。「慰安婦報道」の誤報問題(*注1)で批判を浴びた2014年度の1年間に64万部の激減に見舞われ、その後も部数減に歯止めがかからない。

【*注1/朝日新聞が1982年から従軍慰安婦をめぐり「強制連行」があったとする吉田清治氏(故人)の証言を取り上げた記事について、2014年に「誤報」であったことを認めて記事16本を取り消した】