だが、実際には籠池氏の小学校には首相や首相夫人とのつながりを明らかに示す資料はなかった。だが、この森友学園問題が政治的に大化けする過程で、マスコミは籠池氏の発言をろくに検証することもなく、そのまま報道し続けた。その中で、あたかも新設小学校が「安倍晋三記念小学校」ではないかという印象を垂れ流すことに貢献したことは明白である。

 例えば、朝日新聞は5月9日の記事で「籠池泰典・前理事長は8日夜、取得要望書類として提出した小学校の設立趣意書に、開設予定の校名として『安倍晋三記念小学校』と記載したことを朝日新聞の取材に認めた」と報じた。この記事によって籠池氏と安倍首相との「つながり」の濃さを信じてしまうというミスリードに陥った国民も多かっただろう。テレビなどもこの記事に似た報道を連日垂れ流し続けた。

森友学園問題を取り上げた2017年4月2日付の朝日新聞社説
 もちろん、朝日新聞はこの一方の当事者の発言を事実検証もせずに垂れ流した責任を取る気はさらさらない。むしろ最近では、どうも安倍首相への「忖度」が無理筋だと思ってきたのか、社説などでは、財務省のミスを追及する責任が首相にある、と論調を変化させている。

 例えば、12月1日の社説「森友問題審議 無責任すぎる政府答弁」では、「責任は財務官僚にあり、自分は報告を信じただけ。そう言いたいのだろうか。だとすれば、行政府トップとして無責任な発言というほかない」と書いている。これは以下のように書き換えることができるだろう。

 「責任は籠池泰典氏にあり、自社(=朝日新聞)は発言を信じただけ。そう言いたいのだろうか。だとすれば、言論の府としての新聞として無責任な発言というほかない」

 実は朝日新聞と似たような報道を毎日新聞もしている。以下は毎日新聞の公式ツイッターでの発言である。

「首相がすべきなのは、自身の関与がなかったとしても周辺に『そんたく』がなかったか徹底調査すること」。加計・森友問題の報道に関わってきた記者は指摘します。

 これまで散々「首相の関与」をあおってきた末のこの発言にはあきれるしかない。

 だが、無責任な報道姿勢が改まることはないだろう。例えば、自民党の和田政宗議員が12月1日朝のブログで、「新しいメモ」でもないものをいかにも森友学園の不正を追及する新資料が発見された、といわんばかりの記事を掲載していると批判している。これはささいな問題に思えるかもしれないが、この種のミスリードの蓄積が「安倍首相は謙虚ではない」「安倍首相は人格的に好ましくない」といった印象へと導いていくのかもしれない。森友学園問題も加計学園問題についても、首相から発生する問題はいまだみじんも明らかになっていないのにである。