2017年12月14日 19:32 公開

国際医療NGO「国境なき医師団(MSF)」は、ミャンマー西部ラカイン州のムスリム(イスラム教徒)系少数派ロヒンギャをめぐる人権問題が今年8月に始まってから、1カ月で少なくとも6700人が殺害されたと推定されると指摘している。

バングラデシュに避難した難民に対する調査を基にしたこの数字は、ミャンマーの公式発表である400人をはるかに上回っている。

MSFは、ミャンマー当局の「大規模な暴力行為をこれまでで最も明確に示している」とした。

ミャンマー軍は、暴力の原因は「テロリスト」にあるとし、いかなる不正行為も否定した。

MSFによると8月以降、64万7000人以上のロヒンギャがバングラデシュに避難したという。

MSFの調査では、8月25日から9月24日にかけて、少なくとも9000人のロヒンギャがミャンマーで死亡したことが分かった。

「最も低く見積もっても」、少なくとも6700人の死因は暴力によるものだという。その中には、5歳未満の子供730人も含まれていた。

ミャンマー軍は以前、約400人が殺害され、ほとんどがムスリム系テロリストだったと発表した。

ロヒンギャ武装勢力「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)が30カ所以上の警察施設を襲撃したのを機に、軍の掃討作戦が始まった。

ミャンマー軍は内部調査後の11月、ロヒンギャ危機をめぐり、軍に責任はないとした。

軍はまた、民間人の殺害や村の焼き討ち、女性や少女の強姦、略奪を否定した。

ロヒンギャは、ミャンマーで市民権を認められておらず、バングラディッシュからの移民とみられている。ミャンマー政府は「ロヒンギャ」という単語を使わず、「ベンガル系ムスリム」や「ベンガル人」と呼ぶ。


<解説>国際刑事裁判所事案になる――ジョナサン・ヘッド東南アジア特派員

難民へのインタビューを基に作られたジャーナリストや研究者たちの詳しい報告が山ほどある。このため、恐ろしい人権侵害が治安当局の手で行われていることに議論の余地はあまりない。

しかし多くの報告書はその中でも最悪の事例に注視している。複数のメディアが、トゥラトリ村での虐殺について報道している。私がインタビューしたロヒンギャの中には、実際に経験してはいないものの、暴力を恐れて逃げたと言っている人もいた。

今回MSFの詳しい調査で明らかになった数字は、軍が実行したこの作戦が人道に対する罪として、国際刑事裁判所(ICC)に提訴するに足る残酷なものだと示唆している。

問題はミャンマーがICCのローマ規程を批准していないため、協力する必要がないということだ。ICCに持ち込むためには、国連安全保障理事会の常任理事国である5カ国すべての承認が必要だが、中国はこれまでミャンマー政府の危機への対応を全面的に支持している。


(英語記事 MSF estimates more than 6,700 Rohingya killed in Myanmar