諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師がたちあげた一般社団法人地域包括ケア研究所では、「医療・職業・住環境」という3つの要素をベースに人々が本当に幸せな暮らしができる街づくりの実現を目指している。鎌田氏が、これからの時代に求められる医療や福祉による地域づくりについて語る。

* * *

 昨年秋、ぼくは一般社団法人地域包括ケア研究所を立ち上げた。メンバーは、ブランディングのプロやファンドマネジャー、人材教育のプロ、介護の理論家や実践家などだ。
国は2025年までに「地域包括ケアシステム」を全国につくろうと提案している(写真は埼玉県幸手市のコミュニティ喫茶「元気スタンド・ぷリズム」)。
国は2025年までに「地域包括ケアシステム」を全国につくろうと提案している(写真は埼玉県幸手市のコミュニティ喫茶「元気スタンド・ぷリズム」)。
 地域包括ケアシステムとは何か。医療や介護の多職種や、NPOやボランティア団体、地域住民など、いろいろな地域資源をネットワークでつなぎ、歳をとっても、障がいを負っても、地域で暮らし続けられるようしようというものだ。

 なぜ、こうした発想が出てきたのか。団塊の世代が後期高齢者になる8年後、43万人の介護難民がでるかもしれない。でも、特別養護老人ホームなどの施設をどんどんつくるお金はない。だから、身近な地域で何とかしなさい、というのが、国の本音だ。

 だが、ぼくの考えはちょっと違う。30年ほど前から、諏訪中央病院を中心に地域包括ケアに取り組んできたが、やり方しだいでは、地域の課題を解決し、高齢者や障がいのある人だけでなく、だれもが生きやすい社会を築くことができると思っている。

 この考え方は、『社会的共通資本としての医療』(宇沢弘文、鴨下重彦・編集、東京大学出版会)でも述べた。今年は、本格的に地域包括ケアを形にし、あたたかな資本主義へ方向を変える年にしたい。

 医療や介護の世界は、人材不足であえいでいる。特に地方では深刻だ。そうした課題を解決すべく、リゾート地や地方に医師や看護師、介護の専門家を送り込むベンチャー企業を、リゾートバイトで成功している会社と協働してつくる計画だ。