岩渕美克(日本大学法学部教授)

 今年の政治は、政治家の不祥事や失言が目立つ一年であった。その結果の一つが「魔の2回生」問題である。確かに、復興政務官によるとても認められない被災者の感情を害する行動や、秘書への暴言や暴力といった報道が相次ぎ、政治家の資質を問われるとしか言えない状況が人々の関心を集めた。

 こうした不祥事に対して、当事者である政治家は離党などの極めて甘い自己処理で済まそうとすることも散見された。「政治家の出処進退は自ら決める」という言い訳が相次いだ。確かに有権者に選ばれた政治家を辞めさせることができるのは有権者だが、再選挙とはいかないので、自ら決めるということになる理屈は分からないではない。しかし、全ての有権者が政治家個人に投票しているわけではない。少なからず政党の公認に負う部分も少なくないのではないか。そうであるとすれば、政党の責任を放置するわけにはいかない。離党だけというのは、納得のいかない決定ではある。

2017年7月、自身の離任式に出席し、あいさつする
稲田朋美前防衛相=防衛省
 さて、こうした不祥事は、残念ながら経歴の浅い議員だけに起きたのではない。失言や担当部署に精通していない、または勉強が足りないと思われる閣僚が少なからずいた。このことが国会を混乱させ、建設的な議論が停滞した一因になったのではないか。

 4月には今村雅弘復興相が国会対応もうまくなかったことに加え、大震災が「東北でよかった」と発言して辞任に追い込まれている。大都市であればもっと悲惨になっていたとの意味で使用したのであろうが、とても復興相としての立場を理解しているとは思えないし、被災者に寄り添うことから程遠いといえよう。しかも、復興相は第2次安倍政権になってから今村氏で5人目という始末である。適材適所とはいえず、起用に他の要因が働いたと思わざるを得ない。

 その意味で、最も大きな話題となったのが、稲田朋美防衛相である。3月13日、森友学園問題に関する国会答弁で「関与したことはない」と発言した。しかし翌日、訴訟への裁判記録が公開されると、出席の記録が残っており、国会で問題視された。ここで稲田氏は「記憶に基づいて」答弁したが、間違っていたとした。記憶違いで国会発言が免責されるのであれば、例えば税務署の申告において「記憶違いで済む」ことになってしまう。結局、以前からくすぶっていた稲田氏の資質の問題が再燃するようになる。思えば前年、靖国(やすくに)参拝に関して国会で追及を受けて涙目になる「失態」を犯していたことを見ても、大臣、とりわけ国防をつかさどる防衛大臣にふさわしいかとの疑念を持っていた人は少なくないのではないだろうか。