山田順(ジャーナリスト)

 本稿は有馬記念を前にして書いている。有馬記念といえば、1年の「総決算レース」というような位置付けのため、競馬界の1年間を振り返りながら語られることが多い。

 それで、今年の競馬界でなにが特筆すべきだったかと言うと、馬は別にして、なんといっても外国人騎手の活躍だろう。外国人騎手といっても、いまや日本中央競馬会(JRA)の騎手となったミルコ・デムーロとクリストフ・ルメールの2人に尽きる。11月最終週のGIジャパンカップを前にして、それまで行われたGI・19レース中、実に半分以上の10レースを2人が制していたからだ。M・デムーロの6勝、ルメールの4勝である。しかもM・デムーロは、5月のオークスからGI騎乗機会10連続3着以内を続けていた。

 では、「日本人騎手は?」というと、武豊騎手の3勝が最高だった。ただ、この3勝はすべて、今回の有馬記念で引退する現役最強馬キタサンブラックで挙げたものだった。そのため、外国人騎手打倒の期待もあってか、ジャパンカップは武豊キタサンブラックが断然の1番人気になった。しかし、ご承知のようにキタサンブラックは3着に沈み、短期免許で来日した豪州のヒュー・ボウマン騎手が乗ったシュヴァルグランに差されてしまった。
2017年11月、ジャパンカップで発GIを飾ったシュヴァルグラン。鞍上のボウマン騎手はガッツポーズを見せる=東京競馬場(塩浦孝明撮影)
2017年11月、ジャパンカップで発GIを飾ったシュヴァルグラン。鞍上のボウマン騎手はガッツポーズを見せる=東京競馬場(塩浦孝明撮影)
 またも外国人騎手。それも日本の馬場を知り尽くしたM・デムーロ、ルメール以外の外国人騎手が勝ち、それまで主戦の福永祐一騎手ではあと一歩届かなかったGIタイトルをあっさりと馬主にプレゼントしてしまったのである。

 この結果を見たある有力馬主は、「もうこれでは、日本人騎手には絶対頼めない。うちの馬はすべて外国人騎手に乗ってもらうほかない」とつぶやいた。この方は、90年代の半ばまでは、空いていればとにかく武豊に騎乗を頼んでおり、2000年代になって短期免許でやってきたフランスのオリビエ・ペリエ騎手などの外国人騎手が大活躍しても、「日本人騎手に乗ってもらって勝たなければ本当の勝ちとはいえない」と言っていた。しかし、ここ数年は、もっぱら外国人騎手に愛馬を託すようになっている。

 ジャパンカップの翌週、ダートGIのチャンピオンズカップが行われたが、ここも短期免許で来日した英国のリーディング騎手、ライアン・ムーアが8番人気のゴールドドリームで制した。日本人騎手が乗った人気馬テイエムジンソク(古川吉洋)、ケイティブレイブ(福永祐一)、サウンドトゥルー(大野拓弥)などは、すべて蹴散らされた。