島田明宏(作家・ライター)


 直線でライアン・ムーアが騎乗するエアスピネルが先頭に躍り出た。ミルコ・デムーロのペルシアンナイトが外から猛然と追い上げてくる。勝利を手中にしたかに見えたエアスピネルを、ペルシアンナイトがハナ差かわしたところがゴールだった。1番人気に支持されたクリストフ・ルメールのイスラボニータは5着に終わった―。

 競馬を知らない人が読んだら、どの国のレースかわからないのではないか。これは、11月19日に京都競馬場で行われた第34回マイルチャンピオンシップのゴールシーンだ。

 翌週のジャパンカップでヒュー・ボウマンのシュヴァルグラン、翌々週のチャンピオンズカップでムーアのゴールドドリームが優勝。12月17日の朝日杯フューチュリティステークスが終了した時点で、今年22レース行われたJRA平地GIのうち、半数以上の12レースで外国人騎手が勝っている。

 通年騎手免許を持つ外国人はM・デムーロとルメールだけで、あとは短期免許で来日している外国人が数人いるだけだ。にもかかわらず、これだけ外国人騎手が勝ちまくっている。外国人騎手の占有ぶりを詳しく見るため、今年のGI勝利騎手を挙げていくと、次のようになる。

 M・デムーロ6勝、ルメール4勝、武豊3勝、川田将雅2勝、ボウマン、ムーア、幸英明、池添謙一、松山弘平、横山典弘、石橋脩、各1勝。さらに、元メジャーリーガーの「大魔神」佐々木主浩が所有するヴィプロスに乗ったジョアン・モレイラが、3月末のドバイターフで勝っている。

 こうして見てみると、外国人騎手が強いというより、「M・デムーロとルメールが強い」と言うべき状況であることがわかる。
菊花賞で優勝したキセキとM・デムーロ騎手=2017年10月、京都競馬場
菊花賞で優勝したキセキとM・デムーロ騎手=2017年10月、京都競馬場
 リーディング争いでも、12月17日終了時でルメールが194勝でトップ、2位が大井出身の戸崎圭太で169勝、3位がM・デムーロで168勝、4位がJRA生え抜きの福永祐一で115勝、武は81勝で10位。ファンの間で「ルメデム」と呼ばれている彼らは、大舞台ばかりでなく、トータルでもたくさん勝っているのだ。

 なぜ、彼らはこれほど強いのか。

 まず、最初に当たり前の答えを挙げておきたい。例えば、プロ野球の外国人選手は、メジャーリーグでは厳しいので日本に活路を見い出すケースが多い。それに対し、JRAの外国人騎手の場合、自国で一定基準以上の成績をおさめた者しか短期免許を取得できないルールになっている(M・デムーロとルメールもかつては短期免許で来日していた)。つまり、本場の欧米のトップジョッキーなのだから、上手くて当然なのだ。

 では、具体的にどのように上手いのか。