そうなると、北朝鮮が核とミサイル実験に踏み切れるのは5月以降とみられる。2018年後半からはトランプ大統領による軍事攻撃の危険が高まる。これを阻止するためには日朝首脳会談を模索する、それが02年の小泉純一郎・金正日会談の教訓である。

 米国のティラーソン国務長官は、12月初めに「北朝鮮との前提条件なしの対話」を呼びかけたが、3日後に発言を修正した。何があったのか。ティラーソン長官は12月15日、国連安保理の閣僚級会合後の記者会見で、「大統領の方針は明確だ。軍の準備は整っている」と、北朝鮮攻撃の可能性を強調した。

 マティス国防長官は同日、「北朝鮮のICBMはまだ米国の脅威ではない」と、軍事攻撃に否定的な態度を示した。軍事攻撃に踏み切りたくない立場だ。

 国務長官と国防長官の発言から浮かび上がるのは「トランプ大統領が本気で軍事攻撃を考えている」との示唆だ。トランプ大統領と会談したグラム上院議員は、北朝鮮が核実験をすれば「軍事攻撃の可能性は70%」、ICBMの発射なら「30%」と述べている。
2017年11月、北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると表明したアメリカのトランプ大統領(右)=ワシントン(UPI=共同)
2017年11月、北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると表明したアメリカのトランプ大統領(右)=ワシントン(UPI=共同)
 米紙ニューヨーク・タイムズは12月1日、著名なニコラス・クリストフ記者の「第2次朝鮮戦争の危機」と題した記事を大きく報じ、戦争の危険性を警告した。クリストフ記者は「大統領と補佐官が戦争に言及するときは、真剣に受け止めるべきだ」と歴史の教訓を引き合いに、軍事攻撃の可能性が高いと分析した。この記事の背景には、米国の大統領や高官、報道官は決して「ウソをつかない」という文化がある。「国民をミスリードしない」モラルが生き続けているからだ。むしろ、トランプ氏のようにウソをつく大統領は珍しい。

 だが、米軍の軍事攻撃は国際法上簡単でない。国際法に違反した軍事攻撃はもちろんできない。北朝鮮が「ニューヨーク、ワシントンを攻撃できる」と言い続ければ、自衛のための攻撃との理由づけは可能だが、苦しい説明だ。とすると、北朝鮮の暴発だけが軍事攻撃を可能にする。トランプ大統領は、そのために北朝鮮を追い詰め、挑発している。脳裏には石油供給削減を続ければ、北朝鮮は何らかの軍事行動に出るとの計算があるのである。